会社法
第8編 罰則
(取締役等の特別背任罪)
第960条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
犯罪成立構成要件
① 自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的
② その任務に背く行為をし
③ 当該株式会社に財産上の損害を加えた
犯意
その行為が犯罪となることを知りながら行おうとする意思。
ゴーン氏は先ず①の前段「自己若しくは第三者の利益を図り」は成立するが、「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的」は、成り立た無い。
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「付け替え」を頼んだ新生銀行が「付け替え」をOKすれば、三和銀行は共犯と成る。新生銀行はプロなので「付け替え」が当然犯罪に成らぬ様にゴーン氏一味を指導して「付け替え」に条件を付けた。ゴーン氏一味も当然条件を付けられることは承知していたと此処では想定する(実際、其れは間違いあるまい)。
従って、「自己若しくは第三者の利益を図り」だけで①の犯罪構成要件の一つは成り立つ。
次に、②の「 その任務に背く行為(👈背任行為)をし」が成立つか如何かを、考査してみる。
「背信行為」・・・相手の信用や信頼を失わせる行為
「背任行為」・・・自分の利益のために、役職や地位を利用して仕事先に損害を与える行為
「背任行為」の意味は「自分の利益の為に、役職や地位を利用して(役職や地位を悪用して)会社に損害を与える行為」と解せる。すると、ゴーン一味は、新生銀行を悪用出来ると踏んで「付替え」を依頼して無いことをゴーン一味が証明できれば、②の犯罪成立構成要件は成り立た無い。従って、検察の犯罪成立と未遂や中止犯の立証は難しいというより無理であろう。此処で問題と成るのは、新生銀行の条件である日産の「取締役会での『付替え承認決議』が誠実に行われた」かである。会社は直接会社に損失を与える行為でも、様々な会社としての得失を計らって取締役会で承認決議される場合があるもので、一度決議を経た決定が不正のものだったと言い掛りを付けることは無理筋の難癖と言わざるを得無い。
次に、③の「当該株式会社に財産上の損害を加えた」成り立た無い。其の訳は、👇
日産ゴーン“17億円損失付け替え”の陰で動いた政井日銀審議委員 11/28(水) 16:00配信 「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年12月6日号 「適切に処理」と容疑を否認しているゴーン氏 ©共同通信社 11月19日、東京地検特捜部に金融商品 . . . 本文を読む
👆の中に書かれた「日産の損失はゼロ、ゴーン氏は特別背任にあたらない …」以下を少々長いが読んで貰いたい。此の中に書かれたサウジアラビア人の知人は保証書の礼としてに金を引き出したアラビア地域の販売促進をする日産の子会社の役員でもある。此の件では、今度はゴーン一味の言い訳が苦しくなるだろう。ゴーン一味と其の弁護士の手腕が発揮されるのは此の言い訳の巧さ次第と成る。
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