*世界は2極化から無極化するー人間史の途中経過 - 天星人語 (goo.ne.jp)
はじめに
まず、戦争状態になることを防ぐ方法を議論すべき。戦争を始めれば戦争を止めることが至難で、停戦するまでの長い時間に命と国土を失うことになる。だから、対話を継続することが重要だ。どういう訳かすぐに、軍拡競争になる。
次に、今の日本人の生活は軍事力だけで守られれているのではない。経済・財政・教育などの力が必要だ。
先進国中、突出する債務比率と1000兆円に及ぶ借金。さらに、借金は増えるのに国民生活は低下の一方。この借金は何のために使った。累積財政赤字を積み上げるが日銀の国債買い入れで回る、政府の資金繰りは日銀頼みであることがこの国最大の危機である。
大国ではないので身の丈に合う軍事力と予算に収め、軍の量と質は、選択と集中を進める。さらに同盟間で役割分担すべきだろう。以上が本稿の結論です。
全体主義と原子爆弾が、現代における政治の意味は何か、という疑問に火を付ける。それらは私たちの時代の根源的経験であり、もしそれらを無視するなら、私たちは我らが世界たるこの世界に全然生きていないも同然だろう。*ハンナ・アレント 「政治の約束」207頁
この問題は過去の話ではない。今も過去以上の現実味のある時代に生きている。ますます顕在化するこんな時代に生きる人間が、考えるべき空想論ではない現実論を考えてみた。
●非軍事的平和主義
軍事力には頼らない。国力に応じた防衛態勢を整備する。
●専守防衛
敵基地先制攻撃は危うい。
日本を攻撃するミサイル発射をすぐに探知する能力を
我が国は持たない。
●平和外交
最後まで対話の努力をする。
非軍事的平和主義の理念に賛同する仲間を増やし、同盟国同士で
防衛協力する体制を作る。
兵器だけで国民の生命を守れない
現実的対応とはいかなる状態をさすのだろうか。対抗するために相手よりも強大な軍事力を持たないと国民のいのちと財産、領土を守れないと主張する政治家がいる。敵基地先制攻撃能力を保有すべきとの論議が聞こえ始めた。*見出し写真参照。
残念な考え方だ。前世紀の国土防衛方法しか頭にないのだろう。また、日本の国力を分かっていない。
現代の戦争はハイブリット戦争(兵器+サイバー攻撃+情報操作)*下段に北朝鮮によるサイバー攻撃で得た窃盗金額を記載。と呼ばれ、軍事技術は進む。飛んできた全てのミサイルを完全に迎撃するのはまず無理だ。同時に相手も同じ防衛方法を持っているので先制攻撃は難しい。
まず、防御だがミサイルの飛行経路を正確に予測できない。変則飛行経路は普通で、最新のミサイルは弾頭が分裂する。さらに低空を飛び、速度も超音速だ(研究段階だが極超音速ミサイルの開発が進む)。こうなると、防御バリアーを張らないと防げない。原発の防御もある。
また最近、自民党の一部に先制攻撃論が台頭している。こちらも技術的に困難な方法である。隠密行動をする潜水艦を含めて発射地点を確実に破壊する方法はない。飛行機からの発射もできる。また、政治・軍の意思決定場所を確実に攻撃するのも無理だ。相手は迎撃態勢を準備している。
要は兵器だけで守れないし、先行投資・教育・社会保障を削ることになり、戦争が起きてもいないのに、国民生活を戦争状態にさせる。
最大の危機は政府の資金繰りができなくなる事態
閣議決定した20年度予算案
ところが税収63兆円に対し支出は102兆円。この赤字は毎年増えて行く。どこかが援助してくれるのとでも考えているのだろうか。
相手国への攻撃能力を持てば、抑止力になると言うが、相手の迎撃能力を超えなければ、実効性はない。最新攻撃兵器を開発するには、更なる費用負担がのしかかる。日本の財政を知らない政治家しかいない。これこそが最大の弱点である。
財政余力はない。政府の資金繰りは黒田日銀の支援により継続してきた。毎年政府予算の半分は借金。日銀が国債を買うことにより持ちこたえてきた。しかし、もはや、国内金融機関が国債売りに回る時期が来る。日銀は、法律で財務省から直接買い入れは出来ない。形式的に民間から買い入れをしているが政府・日銀・民間銀行の三位一体は終わる。借り換えは間もなくできなくなる。
この戦後最大の危機を前にした防衛議論を聞いていると、全ての国民の頭は麻痺をしていると書かざるを得ない。
エネルギーと食料自給率の低さも忘れている。
核保有ともなれば、国際的に孤立する道を歩むことになる。それは米国が許さない。世界は超大国による核拡散体制が支配している。日本が独自に核を保有することはできない。
日本人の生活は貧しくなっている。増税などしようものならば国民の生活が破たんする。財政赤字を増やし続ける軍事大国の末の果ては、歴史が教えている。失敗を繰り返す人間の歴史はやめにしよう。
非軍事的平和同盟を目指す仲間を作る
経済力・軍事力・政治力が揃っての安全保障だが、日本の弱体化した国力実態を知らないほど頭は回らないのだろうか? 政治家にこそ教育が必要だと思うこの頃だ。
これからの身の丈に合う防衛議論をしよう。国内の自衛方法は選択と集中が必要だ。今の自衛隊規模を増大する思考は国民生活を破壊する。ミサイルとサイバー防衛に集中する。
また、軍事力だけに与しない外交が大事で、非軍事的平和主義の賛同者を増やすことだ。仲間を増やし同盟関係を築く。信頼できる同盟国間で役割分担をする。
軍事的な緊張をほぐす外交が必要だ。世界は経済文化両面で重なり合う。軍事力だけでは、国民のいのちと領土を守れない。もし一方的な攻撃を受ければ同盟間で取り決めてある手順を踏んで、支援を受けながら自衛し、相手を孤立させ、停戦させる。
まずは、自主独立を確保するために教育・エネルギー・食糧に力を注ぐべきである。恐怖心だけを煽るのではなくて戦争のない道を選んでゆくべきだ。守りを固めて反撃もできる能力を磨くべきだ。国力に見合う防衛力を整備するべきだ。
資料
中国、極超音速兵器からミサイル 南シナ海上空で実験
大きく2つの種類に分けられる。一つは特殊なエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM=Hyper-Sonic Cruise Missile)だ。日本はこのタイプの開発をめざす。もう一つは極超音速滑空兵器(HGV=Hyper-Sonic Glide Vehicle)と呼ばれ、弾道ミサイルなどで打ち上げた後に弾頭部が分離しグライダーのように滑空して目標へ向かう。
また、宇宙空間にある衛星を爆破する実験も行われている(爆破した破片は数千個。これが宇宙を飛び回っている)。このミサイルに、核爆弾を搭載することも可能だろう。
GDP、エネルギー、食糧
日本の力の源泉である国が稼ぐ力(GDP)は、米中のはるか下にあり、伸び率は低い。
日中貿易額は日米よりも大きい
北朝鮮軍のサイバー攻撃部隊による窃盗
・FBI認定 6億2千万ドル
・国連報告 3億1640万ドル(19〜20年)
・ICBMの値段(韓国分析) 3000万ドル 中距離1500万ドル 短距離500万ドル
・韓国独自の試算もある。
出所 日本経済新聞(図)、財務省(日中貿易額)
(更新履歴)
①2020年、8月19日投稿。
②2022年12月25日、21、22、23年度予算案を掲載。