意思による楽観のための読書日記

エ・アロール 渡辺淳一 ***

「それがどうしたの」ミッテラン大統領が、奥様以外の女性との関係と子供について記者会見で問われた際に応えた言葉。その言葉を、老後を過ごす施設の名前にしたのは来栖、54歳、32歳の麻子と週末を過ごす、渡辺淳一の理想の姿か。施設は東銀座の料亭の跡地、来栖が父親から相続した土地である。医者である来栖が土地を引き継いで考えたのは、介護ではなく老後を楽しく過ごせる施設、夫婦でも独身でもお金を払えば入所できる高級な老人ホーム、そこでは70歳を過ぎた男女の三角関係や男女の悩みが紹介される。来栖は麻子と楽しく過ごしているので安全地帯から入所者のトラブルを担当医そして所長として対応する、というとても気楽な立場、渡辺淳一の気楽さを映すような小説、この方は幸せな人生を送っているのでしょうねえ。中には旦那様が定年と同時に奥様から離婚を宣告される方や70歳を越えても男性に興味が尽きない女性も紹介されていて、これはこれで面白い。これからの高齢化が進む日本でコレクティブハウスのような施設が増えてくると私は思っていますが、その先鞭を付けるような小説、目の前に老後が迫っている50ー60歳代の読者には考えさせられることが多い小説ではないでしょうか。 ところで所長の来栖さんも最後には、、、、というお楽しみ。
エ・アロール―それがどうしたの (角川文庫)

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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