意思による楽観のための読書日記

World's End マーク・チャドボーン ***

本作は長大な三部作大長編”Age of Misrule”シリーズの第一作。第二作は”Darkest Hour"、第三作は”Always Forever"と続く。そして更なる次の三部作が前シリーズの2年後という設定、そして第三番目の三部作が”Kingdom of Serpent”、2012年に完成の第4番めの三部作が"Swords of Albion”と12作にもなる大長編である。そしてその第一作目の1冊だけでも630Pにもなる分厚い本である。

舞台は現代のイギリス、数千年前に追放されたとされる古代ケルトの神々が戻ってきたという設定で、「竜の仲間」と呼ばれる5人の男女が出会って行き先も皆目わからないまま、4つあるというタリスマンを求め、目の前に現れる怪物たちと戦う使命を負う。最初に出会ったのは恋人に死なれて失意のどん底にあるチャーチとパーティで知り合う男性に失望を続けるルース、そして二人が車で高速道路M4を西に向かう途中のSAで怪物たちに初めて襲われた時に出会うトム、彼は竜の仲間ではないが、5人に次に向かうべき道を教える役割を持つ。この3人は最初の災難を逃れてストーンヘンジにたどり着く。

そこにはアーサー王の父ウーゼルが兄アウレリウスの命によってアイルランドに軍隊と共に派遣され魔術師マーリンの助けを得て巨石を運んだという言い伝えがある。そして次にであったのがローラ、場所はアーサー王最後の決戦地と言われる地に近いソールズベリー。そしてチャーチは一人魔物たちに捕らえられるが、そのネグラで知り合ったのがヴェイチ、そこで次のタリスマンを手に入れる。一方のローラとルースはグラストンベリーで最後の仲間シャヴィと知り合う。

5人はタリスマンの一つ「導きの明かり」に方向を示されて、アーサー王生誕の地ティンタジェル城跡やマーリンの洞窟、アヴァロンの島、聖杯伝説のチャリスヒルやチャリスウェルなどアーサー王の伝説の地を次々と訪れる。南ウェールズ、湖水地方、スコットランドとイギリスの観光地を周る旅である。ケルト神話も背景にあり、女神ダヌを母とする光と知恵の種族ダーナ神族と闇と野生の種族であるフォモール族が登場する。本作ではまずは5人の前にフォモール族の魔物たちが現れ、危機に陥りながらも何とか切り抜けるが、最後の窮地はダーナ神族に助けられる。しかしこれが最初の三部作の物語の始まりであった。最後にBBCから流れてきたのは、イギリス全土に戒厳令が布かれたこと、人類にとってこれからしばらくは大変な苦難の時が来ることが示唆されて本書は終わる。

イギリスを訪ねて車で旅行したことのある人なら懐かしい地名と道の名前が登場する。ロンドンから西に向かう高速道路M4、その道がバースやカーディフに向かう途中にある町メイドンヘッドやレディング、マーボロー、スウィンドン、・・・。

兎にも角にも大人向けの現代版指輪物語か南総里見八犬伝か、アーサー王伝説やケルト神話に関心があれば尚更に楽しめるだろう。一度読み始めたら12冊読むハメになるのか、ちょっと覚悟は必要だ。


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