意思による楽観のための読書日記

アメリカの中学教科書で英語を学ぶ ****

英語人と仕事などで一緒にいると、ビジネス時には先方が気を使って日本人にも分かるように話してくれるのだが、夕食からアルコールが入ってきたり、ゴルフをしたりしていると、「おっ!?」と思うような英語に出くわすことがある。わからないので聞いてみると、多くは日本なら小中学校で習うような数学や理科の単語や表現であることに気がついた。そこで、この本を読んでみたらウジャウジャでてきた。TOEICやTOEFLでも出てこない、新聞でもめったに出くわさないような英語である。

数学。分母denominatorと分子numerator、帯分数mixed fractionや仮分数improper fraction、最大公約数GCMと共通分母化common denomination、帯分数にして整数部分を外に出すregroup、既約分数lowest termsなどでその組み合わせである。common denomination:あなた達と私達の「共通分母」を見つけましょうよ、とかあなたの宗派は何?what is your denominationなどという文脈で出てきた単語。
 多角形の授業で出てくるのが、菱型rhombus、台形trapezoid、頂点vertices、平行四辺形parallelogram、四角形quadrilateral、直角二等辺三角形の斜辺hypotenuse、合同congruent、相似similar、接線・辺edge、垂直に交わる線分perpendicular lines、交わる線分intersecting lines、対角線diagonal、軌跡locus・loci(複数形)などなど。会話では「この広場の対角線上にあるレストランで待ち合わせしよう」、「これらの軌跡を辿ると分かるよ」など、「ローカイ」といわれてもピンと来ないがlociがlocusの複数形だと知っていれば気がつくはずだったが、知らなければ皆目わからん。英米人は九九を習わないので掛け算暗算をやってみせると”genius!!”とかいって驚いてくれるが、文章で数学概念を表すのはなかなか難しいことに気がつく。小中学生には平日には毎日数学の宿題assignmentが出て、週末には理科の宿題があるので、数年滞在の家族連れの場合には親も必死になる。数学の教室の後ろには、数学の各章ごとに役立つ職業や仕事の種類の一覧表が張り出してあって、「こんな数学は仕事に役には立たない」とかいう子供に先手を打っていることに感心する。

理科の授業では7年生がHealth science(保健科学)、8年生がPhysical science(自然科学)と分かれていて、7年生の授業ではAIDSや予防注射の役割、アレルギーなどを学ぶ。これは病院に行く時に役に立つ。病院ではかならず最初に問診票questionnairesに記入させられるが、既往症やアレルギーなどのチェック項目があり、病気やアレルギーが並んでいて最初は歯がたたない。日本でも受けている予防注射、MMRやDTPはおたふくかぜmumps、はしかmeasles、風疹rubella、ジフテリアdiphtheria、百日咳Pertussis、破傷風Tetanusであること、テレビでも毎日CMで流れる病名は糖尿病diabetes、関節炎arthritis、喘息asthma、それ以外にも失神faint、脳卒中stroke、心臓動脈系疾患cardiovascular disease、高血圧hypertensionなどなどである。家族と渡米したり、年を取ってきて英語人と病気の話になると必須になる。
人体の授業も役立った。甲状腺thyroid、脳下垂体master gland、排尿するurinate、副腎adrenal、腎臓kidney、肝臓liver、膀胱bladder、血管vessel、尿管ureter、皮脂sebum、膵臓pancreas、胆嚢gall bladder、思春期adolescence、酵素enzyme、内分泌endocrine、分泌secretion、弱ったlimp、眩暈dizzy、認知症dementia、発作spell、軟骨vertebra、赤血球red blood cellsなども病院の問診票で出くわす。

8年生の理科の宿題は「名作」が多かった。「生徒20人がそれぞれ太陽系の惑星とその衛星を1つずつ担当し、地球からの観光客を誘致するポスターを作成すること」息子の担当はエウロパ、木星の惑星で水があって表面は氷が張り、その下には生命がいるかもしれないという小さな星。まずは木星に行くが、木星はすごい嵐が吹いていて、それをかいくぐって地表に行ってもガス惑星なので降り立てない。エウロパでは、氷の上を飛行船でスケートし、穴をうがってその下に潜水艇で潜る、という観光プランであった。これを調べるためには惑星や衛星の情報を知らなければならないので必死になる。もう一つの名作宿題は「有精卵を家に持ち帰り、卓上電灯で摂氏33度に温め16日間で雛を孵す」というもの。雛をかえすと可愛くてしばらくはチキンを食べる気にならない。33度に温め続けることなど親子で必死になるところもポイントである。日本では夏休みには宿題が出るが、アメリカでは年度の変わり目なので2ヶ月以上の夏休みは完全フリーになる。しかし、英語を学びたい親子には、2ヶ月は貴重な英語勉強期間になる。日本に戻れば学生ではまずは使わないと思われる上記英語を必死で勉強する。

その他、ビジネスで役に立った単語たち。日食solar eclipse、これは「あなたの良い点は弱点を隠す」という文脈で現れた。針葉樹conifer、これはゴルフ場で。甲殻類動物crustacean、これはかに道楽で、きのこfungi、軟体動物mollusc、これは鍋料理、変態metamorphosis、蛹pupa、蛹が蝶になるためにまゆから出てくるopen the canopy、これはカリフォルニアのサンタ・クルーズ海岸でモナークバタフライというチョウチョの大群に出くわした時。

困るのは固有名詞が異なること。画家のゴッホはVan Gogh(バンゴー)、フェルメールはVermeer(ヴァーミア)、プトレマイオスはPtolemy、孔子孟子はConfucius、Mencius、揚子江はthe Yangtze、ピタゴラスの定理はthe Pythagorean theorem。とにかく学生時代を英語圏で過ごしていなければ、一生かかっても追いつけない気がするが、「少しでも」という努力は重要。


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