本の表紙にもなっているのですが、不思議な絵があって水は上から下に流れるはずなのに、絵の中では上から下、下から上に循環している、そのようなお話です。前後関係をきちんと把握しないと話はクリアにならない。大金持ちで、「この世に金で買えない物はない」と言い切る画商の戸田と、いやいやながら戸田と行動を共にする若手の画家志奈子。「空き巣のプロ」を自認するプライド高き泥棒の黒沢。父親の自殺を契機に、ある団体の「信者」となった絵の得意な河原崎と、幹部格の塚本。お互いの配偶者の殺害計画を企てる精神カウンセラー京子と、サッカー選手の青山。会社でリストラされ、40社連続不採用という憂き目にあっている中年失業者の豊田。泥棒を生業とする黒沢はカモを物色する。父に自殺された河原崎は神に憧れる。女性カウンセラー京子は不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた豊田は野良犬を拾う。 バラバラ事件を題材にした人物描写、うまいという人もおるかもしれませんが、私は好きじゃあないなあ、この人好き嫌いがある。 ラッシュライフ (新潮文庫)