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意思による楽観のための読書日記

見開き2ページで分かる!「世界史X日本史」エピソード100 玉木俊明 ***

日本史は世界史の一部、日本史上の出来事は世界史の中でどのように位置づけられるかを分かりやすく解説した一冊。15-10万年前にアフリカ大陸を出た現生人類は、3万8千年前の氷河期にサハリンから北海道、朝鮮半島から北九州、台湾、与那国島から先島諸島へと主に3ルートで日本列島に到達した。今は世界6大文明と言われるのは、メソポタミア、エジプト、インダス、黄河、これに長江、古代アメリカ。定住者が生み出したのが6大文明だった。縄文時代は16000年前から3000年前ほどで、定住生活を始めた人類は結核、下痢に苦しめられるようになった。その後人口集積が始まると都市部では腺ペストと麻疹に苦しむようになる。疫病は定住生活が生んだとも考えられ、交易拡大はパンデミックを生む。

紀元後1世紀の後漢時代には遊牧民族の匈奴は東西に分裂、東匈奴は内モンゴル、西匈奴は中央アジアに移動。それに伴いフン族も西方に移動、脅威を感じた西ゴート人がドナウ川を越えて375年にローマ帝国に侵入したのがきっかけとなり、ゲルマン民族大移動が起きる。イギリスにアングロサクソン人によりブリテン島に国家が成立した。中国でも北方からの遊民族侵入があり、中国の戦乱、大混乱の時代を迎える。日本列島に多くの人々が移住してきたのは、こうした大陸における戦乱がきっかけ。渡来人の波は、紀元前5世紀から紀元後7世紀後半にかけて数回に渡る。

海洋国家だったスペインとポルトガルは1479年に世界を分割するアルカソヴァス条約を締結、東南アジアはポルトガルの地域となり、日本にも来航することになる。信長や秀吉は南蛮交易には魅力を感じたが、キリスト教布教には警戒を怠らず、軍隊の到来をなんとか防ぎたかった。秀吉の朝鮮出兵は、イエズス会宣教師たちによる世界情報、国家戦略を知ることにより、彼らに占領されてしまう前に、朝鮮半島や中国大陸に進出しようと考えた。秀吉は武力により検地を実施、全国領土管理の権力を握ったが、さらなる領土拡大こそが家臣団結の大本になると考えたから。朝鮮出兵失敗は、徳川幕府の鎖国政策につながった。鎖国とは言っても、松前、対馬、長崎、琉球と4つの交易窓口は開いていた。

明治維新以降の殖産興業政策で、日本では繊維産業に力を入れたが、その頃の欧州では生糸や綿糸が重要ではなくなり、繊維産業は世界では当時の先進国が注目しなくなったニッチ市場だった。欧州の産業革命に遅れたから、うまく日本の産業開発が波に乗れた。しかしその後の第二次産業革命は重化学工業への以降であり、その波に日本は全く乗れなかった。これが明治日本の産業革命の問題点となる。しかし、太平洋戦争後の朝鮮戦争と中国革命はアジアにおける日本の経済的地位を高める絶好の機会となる。

世界史の中の日本史、一読の価値がある一冊。
 

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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