意思による楽観のための読書日記

中国大国の虚実 日本経済新聞社 **

2006年発刊の中国情報、ちょっと古いが、このころの中国の状況を確認したかった。2005年度は自動車生産台数、GDPともに米日独についで世界4位だった。人民元の切り上げが2005年に行われ、米ドル連動性に移行した。反日デモは中国国内格差拡大の国民不満を反日というはけ口を提供することで中国政府が煽ったが、世界からのバッシングを浴びて、沈静化をはかるが政府が想うような動きにならず、人々も世界の動きが国内世論とは違うことをWeb情報で知ることとなった。エネルギー効率が悪いため資源不足に陥る中国は世界に資源を求めて進出、しかしさらに環境問題が経済発展にたがをはめる。張平が書いた本「凶犯」で描かれた都市戸籍と農村戸籍の問題、地方の有力者の悪事を暴いた公務員が有力者に抹殺されるが、それを訴えて地方官僚の悪事を中央に訴えるという殺された男の妻に、都会戸籍を与えることで隠蔽しようとした話。これは中国にまだまだある格差問題の一部なのだろう。

上海に暮らす中国経済専門家呉軍華さんが示す、今の中国の課題は次の通りである。
1. 投資・外需依存から消費主導への転換が必要であり、官有経済からの離脱が不可欠となる。中国は確かに豊かになったが、官に関係する人ばかりが豊かになっている。これは国有企業が川上産業を占めていて、そこに集中的に財政出動し、川下産業は競争市場としているためである。結果として家計部門には富の配分が行われず、消費は増えず外需頼りになってしまっている。
2. 疾走型経済から安定成長経済への移行が必要である。8%という成長をずっと続けることはできない。第三次産業を育成して雇用の創出をしていくことが重要になる。

中国が持つリスクよりも、中国と取引しないリスクが大きいので、進出するという決断をする日本企業、これからも同床異夢の摩擦は続くのだろう。
中国 大国の虚実 (日経ビジネス人文庫)

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