「チーム・バチスタの栄光」の続編。東京郊外にある桜宮病院の医師で不定愁訴外来担当の田口とチーム・バチスタでもコンビを組んだ白鳥、そして、病院一の歌声をもつ浜田小夜が登場する。今回中心となるのは子供の患者で、白血病の余命少ない16歳の美少女杉山由紀、ろくでもない父親に育てられ父を憎む秀才、網膜芽腫で両眼摘出が必要な14歳の牧村瑞人、スーパーヒーローに憧れる10歳のヒデマサ、そして瑞人を尊敬する網膜芽腫を病む5歳のアツシ。院長は田口に小児科に入院している子供たちの不定愁訴を聞いてやることを田口に命じる。看護師の小夜を慕う子供たちは不定愁訴外来に小夜とともに訪れる。そこに入院してくるのは往年の名歌手で肝硬変を病む水落冴子とそのマネージャ城崎、冴子の入院騒動の中、小夜はその歌声を城崎の認められる。小夜の歌声は聞く人に小夜の心の浮かぶイメージを思い起こさせるという設定。瑞人に必要な手術には親の承諾が必要、その承諾書を受け取りに瑞人の自宅を訪問する小夜、そして小夜は瑞人の父にレイプされそうになる。ここまでが上巻。 あいかわらず軽妙なテンポと洒脱な人物描写で読者を引き込む。登場人物たちを引き立てるのが病院のベテラン看護師で田口や小夜をもり立てる藤原、猫田などの存在。そして病気やMRI検査、手術の恐怖に打ち勝とうとする子供たちのひたむきさ。それを支えようとする小夜と田口。軽妙と洒脱を裏打ちするのは実はこうしたシリアスな設定である。 読書日記 ブログランキングへ