意思による楽観のための読書日記

未踏峰 笹本稜平 ***

天才的な料理の才能を持ちながら、アスペルガー症候群で人生に自信をなくしている女性は戸村サヤカ、仕事でしくじり犯罪を犯してしまう男が橘裕也、絵に才能を持ち、力持ちで若干の知的障害を持つ男は勝田慎二、そしてアルピニストとして名声を誇った山男が無酸素登頂を目指した山での人命救助を怠り悔悟の念からアルピニストをやめて、八ヶ岳の山小屋ビンティ・ヒュッテの主人となった蒔本康平(通称パウロさん)、この4人が自分の生き方を山登りを通して見直すという話。

裕也、サヤカ、慎二の3人とパウロさんは、ヒマラヤにある未踏峰ビンティ・チュリ(物語の中での架空の山)への初登頂をめざし、八ヶ岳や冬の富士山などでパウロさん指導のもと、猛訓練を始めた。ところが、ビンティ・チュリへの遠征直前になって、山小屋の火事でパウロさんが亡くなってしまった。3人は一時絶望するが、未踏峰挑戦の夢を実現させることが、パウロさんの夢でもあり、挫折した3人の人生を見つめ直し、立ち直るきっかけになることだと思い直し、3人でビンティ・チュリへと向かう。

なかでもサヤカの料理が3人を力づけ、サヤカの意志の強さが3人を支える。ストーリーは単純かもしれないが、読んでいて気持ちの良い作品。若いときにこういう本を読み、八ヶ岳縦走や夏の上高地から穂高や槍ヶ岳に登ってみれば、山登りが好きになる気がする。
未踏峰

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