意思による楽観のための読書日記

地震考古学―遺跡が語る地震の歴史 寒川 旭 ***

人間が構築した建造物の発掘において、地震や津波の後が発見できる場合があり、その情報と歴史上の記述を突合することで日本列島における地震災害の実態を把握することができる、という学問、これを地震考古学と定義した。特に噴砂による地面の液状化現象は多くの古墳などの発掘現場で見られ、その古墳が作られた時期や古墳に関する歴史的記述物より地震被害との関連が推測できる。

南海地震と東南海地震がある程度定期的に繰り返し起きていること、古墳が多くある近畿地方を中心に地震の歴史も見ることができること、秀吉時代の大地震は伏見桃山城の被害により知ることができること、会津地震の被害、加賀百万石を襲った大地震などを解説している。

大きな地震はある程度決まった場所で繰り返し起きることや古墳発掘は地震研究とは無関係にどんどん行われているので、情報は考古学者から集まってくること、逆に地震情報が考古学にも役に立つ、等という話は面白い。また、琵琶湖の底にある集落や南海地震で海の底に沈んだ高知県の村、諏訪湖の地震被害と水底にある過去の生活跡などの逸話も面白い。

地震と古墳、という日本特有の環境がユニークな研究を進めている、という非常に面白い実例だと思う。
地震考古学―遺跡が語る地震の歴史 (中公新書)
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