大河ドラマを見ていると、武将たちが頻繁に酒盛りをしている。あんなに酒を飲んで戦に行けるのかと心配になる。もう一つ、誰か止める人がいなくて肝硬変になってしまうと思っていたが、そのとおりだった。幕末の山内容堂は有名だが小早川秀秋や前田利家もそうだった。戦に向けてのストレス解消や裏切りへの鬱憤には酒を飲んでウサを晴らすことが重要だった。
16世紀のはじめ頃に日本列島にもたらされたのが梅毒。戦国武将たちは、遊女から移され、病気の知識もなく多くの武将たちが感染したという。本書で紹介されたのは、好色家で大酒飲みだった加藤清正、30歳を過ぎて感染し鼻が欠損、神経過敏被害妄想もあり梅毒が進行して第4期まで行っていたと考えられる結城秀康、足が不自由だったが、梅毒が原因と考えられる骨髄炎の疑いがあり、晩年は大言癖、誇大妄想が見られて59歳でなくなった黒田如水、大河ドラマにも描かれた前田利長は18歳で天然痘に罹患、後年は悪性のはれものを発症して梅毒に侵されていたと見られ53歳で死亡、朝鮮出兵時に現地で罹患したのか、女歌舞伎に熱を上げて演じ手の女性から移されたのか、38歳でなくなった浅野幸長。
天寿を全うしたと考えられるのが、乗馬などで体を鍛え規則正しい生活と食事で88歳でこの世を去った北条早雲、食生活に気を配り薬の調合の知識を持ち合わせて強靭な精神力で83歳まで生きた細川忠興、秀吉の五大老として活躍したが関ケ原で敗北して八丈島送りとなり温暖な気候とストレスのない生活で83歳まで生きた宇喜多秀家、54歳で九度山に幽閉され厳しい生活で弱り果てた末に65歳で死亡した真田昌幸、家康の6男として生まれたが父親に疎まれ大阪夏の陣における不始末から改易の上信州諏訪にお預けの身となりながら天寿を全う92歳でなくなった松平忠輝。
その他、有名所では焼死の信長、尿毒症の秀吉、胃がんの家康、腹膜炎の伊達政宗、脳出血の上杉謙信、胃がんが疑われる武田信玄、食道がんだったのか毛利元就、寄生虫かもしれない徳川秀忠。中間管理職的な武将として、大腸がんだったのか蒲生氏郷、脳卒中の池田輝政、消耗性疾患の直江兼続、肺結核の片桐且元、関ケ原での傷が原因の敗血症の井伊直政など。本書内容は以上。
無理難題を押し付けられ、嫌いな相手でも言うことを聞いて、死ぬかもしれない戦場にも遅れずに駆けつけることを求められた戦国武将たちのストレスと葛藤を思うと、これも致し方ないと思うところが多い。手元においておき時々読み返したくなる一冊。