意思による楽観のための読書日記

鷲の人、龍の人、桜の人 キャメルヤマモト **

生まれ育った国でその人のタイプを決めつけることは危険だが、どういう考え方や傾向を持った人が多くいるを知っておくことは有効である。基準を決めて、それを他の人にも守らせるアメリカ人、信頼できる相手である圏子(チュエンツ)の輪を広げて信頼と誠実さを重要視する中国人、その場の雰囲気に染まりチーム、組織で物事を進める日本人、著者が主張するのはこういう色分けである。アメリカ人が考えた標準を世界的な標準に仕立て上げて、それを守ることをグローバル対応だと思いこむ、ということは近年度々日本人が経験していること。英語が国際語だ、というのが一番分かりやすい例である。日本人の心理をよく表す文章として、漱石の草枕冒頭があげられている。「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈だ、兎角にこの世は住みにくい」初めて合う人同士では、所属する組織、会社、年齢を知りたがる日本人、場を知る上で、その人が属する組織や年代を知ることは、そこで発生する場を察知する最も有効な手段であることを日本人は知っているからだという。

アメリカ人はビジネスで成功して金持ちになることに何の後ろめたさもない。中国人にとっては学歴、圏子、職歴がお金を更に増やすために必要な投資先であり、単に現金や金を持つことではないと考え、日本人はお金は成功のたまたまの結果であり、お金に執着する人は尊敬されない。

キャリアで考えると、アメリカ人は「アップ オア アウト」、出世できないなら組織を飛び出て新天地を探す。中国人はアメリカ人と同じアップ オア アウトであるが、リスク分散で、自分と親類縁者で各国の各地に分散する。日本人は一つの組織で自分の技を磨き、一流の職人(プロフェッショナル)を目指す。

組織で仕事をする場合に、アメリカでは仕事を部品に分けるモジュール化とマニュアル化が得意、中国人はプロセスの細かいところは飛ばしても、面子と体裁を整える、日本人は担当者同士がすりあわせを行い、上司の意志も確認しながら調整しつつ仕事をこなす。アメリカの職務記述書、日本は職場に慣れる、中国では職務を先例や他社事例からコピーする。

結論として、日本人がすべきポイント3つ。
1. 和風のチームワークを競争によって磨く。
2. 外の人たちと手をつないで強みを取り入れる。(中国人の良さを取り入れる)
3. 標準・基準を作り出す(アメリカ人に学ぶ)

各国人をステレオタイプ化することは本書の目的ではないだろう。特性を知ることで無駄な誤解や摩擦を避けることは賢明なビジネスパースンには必要なこと。一度外国で仕事をしてみれば大いに感ずるところがあり、首肯できる部分も多い。
鷲の人、龍の人、桜の人―米中日のビジネス行動原理 (集英社新書)

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