これだけの話である。1960年の作品であり、忍者もののはしりなのであろう。梟とは忍びの者を指す言葉、昼は人の目に付かず虚に住む、他のものとは群れず一人で生きる、という存在。その梟が実は恋する相手を求めていたというストーリーなのだ。映画にもなったし、ストーリーを知っている方も多いと思うが、司馬遼太郎のその後の作品を知る人にとっては異色の作品とも感じられる。つまり、歴史観があまり感じられないという点。時代設定はあるし、秀吉の朝鮮進出は批判的に描かれている、甲賀伊賀忍者の哀れな行く末についても記述があるが、このお話しで世の中がどう変わった、世の中の趨勢が登場人物の生き方にどのような影響を与えたか、という接点は少ない。ただ、忍者である、という出自が生き方を左右している。同時代にポピュラーだった白戸三平のカムイに近いものがあるのかもしれない。
梟の城 (新潮文庫)
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