意思による楽観のための読書日記

SOSの猿 伊坂幸太郎 **

伊坂幸太郎の小説は何冊か読んだことがある。「死神の精度」「終末のフール」「チルドレン」「ラッシュライフ」などであるが、なぜか少し周波数が合わない。

遠藤二郎、家電販売員なのだが、昔イタリアで知り合ったロレンゾの父に悪魔払いの技を教わったことがあり、副業でエクソシストをしているという設定。「私の話」として語られるのが遠藤二郎の悪魔祓いの話、「猿の話」というのは、もう一人の登場人物で自社取引先である菩薩証券の調査担当者五十嵐真が自社で起こってしまった株の誤発注事件を調べる話である。この二つの話が交互に進む。

誰か他の人がSOSを発しているとしたらそれを見逃せないという遠藤二郎、その母と自分の母が知り合いだという「辺見のお姉さん」、遠藤二郎が中学生時代に憧れていた彼女は22年後の今引きこもりになってしまった眞人(まさと)の母となっていた。遠藤二郎は辺見のお姉さんに眞人の悪魔祓いを依頼される。二郎は眞人の部屋で西遊記の本を見つける。

五十嵐真は、取引先である菩薩証券での株発注にまつわる問題の原因が、自社が開発し納入したシステムにあるのかどうかという調査をしていた。五十嵐真は妻とは離婚、西遊記の登場人物の妖怪の幻覚を見る。

五十嵐は眞人から未来に起きることを予言するといった内容を聴きとるが、それは実際に自分が見聞きした内容とも重なり、自らが体験する孫悟空らしき赤い猿の亡霊から囁かれる内容と現実とが重なり、混乱する。

半年前に株の誤発注や女性とその息子の閉じ込めなどを予言する眞人、勤め先のコンビニ店長金子、金子が属する合唱団の一員である雁子、金子が経営するコンビニの駐車場でゲリラ的に合唱をしている女性、菩薩証券の社員で、株の誤発注事件を起こした田中、彼らを巻き込んで、私の話と猿の話がだんだん近づいてくる。

想像上の話と現実が混在し、そもそも小説なので物語全体が想像上の話なのではあるが、伊坂幸太郎ファンにはたまらないという展開は、私には響いてくるものは少ない。五十嵐大介のコミック「SARU」とのペアで考えた話だという。



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