意思による楽観のための読書日記

聖灰の暗号(上) 帚木蓬生 ****

日本人の歴史学者須貝彰は、十三世紀から十四世紀にローマ教会から異端の宗教として激しい弾圧を受けたカタリ派を調査するため南仏を訪問。トゥルーズ市立図書館で偶然見つけたのは、700年前にドミニコ会修道士マルティによって書き記された羊皮紙の古文書は二枚、四ページ手稿であった。カタリ派の信者たちの火刑の様子が絵、そして詩で表されていた。

須貝がパリの研究者の集まりでこの一件を発表した後、須貝の身の回りに不穏なことが起こる。須貝は身の回りに気をつけながら文献の続きがあると目算をつけたピレネー山脈の麓の村村に向かう。トゥルーズ市立図書館では調査に協力してくれた館長が行方不明になり死亡したことがわかる。パリのペール・ラシェーズ墓地で出会った女医、クリスチーヌ・サンドルと、現地では砂金を掘り、日本の刀を模してナイフを作る男エリックとその妻エリーズの力を借り、残りの手稿を探し出そうと協力して少しずつ真実が明らかになっていく。

カタリ派、偶像崇拝をせず、キリスト像などを拝まない。神は信者の心の中にいるため、農業で熱心に労働し、嘘をつかず、誠実勤勉に暮らすことを推し進める。女性の修道士もいて、男女とも日本語にすれば「良き人」という呼び名。堕胎を認めている。日本古来の神は自然の万物に宿る、という考えに近く、儒教的な「勤勉誠実正直」に通ずる。

筆者のグルメにも注目、3種類のエスカルゴ、生ハム、ソーセージ、チーズに地ワインやバゲット、いずれも食べ物が大好きな人の記述だと思う。

聖灰の暗号〈上〉
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