意思による楽観のための読書日記

捨て童子・松平忠輝(上) 隆慶一郎 ***

徳川家康の第六子松平忠輝は鬼っ子として生まれた。容貌怪奇なため家康は生まれた赤ん坊を「捨てよ」と命じたため、下野長沼3万5千石の小大名皆川広照に引き取らせた。忠輝の幼名は辰千代、母はお茶阿といった。お茶阿は鋳物師の生まれ、道々の者の流れをくむ。家康との間に辰千代に加えて松千代も生んだ。そして連れ子のお八を花井三九郎に嫁がせた。そして辰千代は長沼松平家を継ぐことになり、武州深谷一万石を領することになった。

この辰千代が、幼少のころから武術に、学問にも異彩を放つ存在となった。家康の子にして傀儡師の一族と交流し、オランダから来ていた宣教師から医術とラテン語を習い会得、武術は忍術を学び、徳川家の子供として豊臣家に嫁ぐことになる千姫とも一緒に遊ぶ。とにかく、辰千代、長じて松平忠輝は只者ではない若者に成長していく、というお話である。読んでいて痛快、、武士、そして道々の者と言われる日本史の教科書にはあまり出てこない人物も登場する、面白い読み物だと思う。



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