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意思による楽観のための読書日記

誰も知らない「名画の見方」 高階秀爾 ****

絵が好きな人は、美術館で見る絵がどんな背景を持ち、画家がどのような境遇のときに書いた絵なのかを知ることで、鑑賞の度合いが深まることご存知だと思う。いわんや素人ではなおのこと、名画の名画たる所以を少しは知っておいたほうが良いだろうと思い読んでみた。タメになったが、忘れてしまいそうだ。少しでも記憶に残そうと思い、備忘録とする。

それらしく見える工夫。フェルメールの「真珠の首飾りの少女」、黒目の中に白い点があるので、目に生命力がこもる。ファン・エイクは点ではなく窓と窓枠まで書き込んだ。そして、背景に小さく書き込まれた鏡には、絵には書かれていない画家の後ろに位置する人物まで描かれている。ベラスケスは影を緻密に書き込むことで奥行きを表す。

宮廷画家だったゴヤは、時代の流れで没落、勃興を繰り返す権力者に寄り添い生き延びた。一方ミレーは時代に抗い、農民画家としての地位を築いた。ピカソの代表作にはその時代を映す色合いや対象物が現れる。ゴーガンはタヒチに行くことでその画風が花開いた。ボッチチェリの代表作には二種類、質実剛健と知的で物語性の強い作品。時代の好みに応じて作風を描き分けた。

ダビンチはさざなみや髪の毛などを科学的に分析することで、写実的であり科学的でもある表現方法を実践できた。セザンヌは人も風景もすべてをモノとして描き革新的な作風を生み出した。音楽を絵画として表現したのはクリムト。アールヌーボー様式を取り入れながら、エキゾチックな模様も多用して装飾性を高め官能的な画面を作り出した。

ルーベンスは徹底して依頼主の要望に応えることで名声を得、その多作を支えたのは数十人もいた工房職人だった。ドガは大胆な構図で、一瞬を捉え演出したが、写実性よりも計算された一瞬を作り出していた。職人気質のルノワールは、彩りを際立たせるため黒を積極的に用いた。

アングルは女性の優美な曲線を表現するため、あえて背中の長さを脊椎3つ分伸ばした。働く人達を描いたのは色彩画家と呼ばれたファン・ゴッホ。人間味あふれる農民生活を描いたブリューゲル、新しい女性像を描いたのはベルト・モリゾ。本書内容は以上。

文字でいくら書いてみても、絵画の面白さは表現できないだろう。やはり、何度も美術館に通い、画集でも眺めたほうが良さそうだ。東京の良いところは世界の美術展が身近な場所で開かれること。京都の良いところは美術館が空いていること。どちらの場所も特徴を生かして有効活用したいもの。自由に美術展に行きたいものだ。

 

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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