女性は男性の4~8割
昨年7月から始まった男女賃金格差の公表(301人以上規模の企業に義務付け)で、経団連の会長・副会長企業、名誉会長や会長を歴任した企業のデータを本紙が集計しました(表)。正規雇用・非正規雇用をあわせた全労働者でも、正規雇用でも、男性を100とした場合、女性の賃金が約4~8割と、深刻な格差があることが明らかになりました。各企業の賃金格差は、厚生労働省のホームページ「女性の活躍推進企業データベース」で企業名、業種、企業規模、都道府県などから検索できます。全データもダウンロードできます。
経団連会長・副会長企業 | |||
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全労働者 | うち正規雇用 | うち非正規雇用 | |
住友化学 | 74.9% | 75.9% | 66.9% |
みずほFG | 41.8% | 43.1% | 45.0% |
三井不動産 | 48.6% | 60.1% | 49.9% |
三井住友FG | 45.4% | 52.0% | - |
三井物産 | 56.9% | 56.9% | 54.9% |
日立製作所 | 66.4% | 66.7% | 55.3% |
日本製鉄 | 64.7% | 64.3% | 77.8% |
パナソニックHD | 70.3% | 68.9% | 69.6% |
ディー・エヌ・エー | 67.7% | 75.2% | 91.6% |
アサヒグループHD | 70.1% | 79.9% | 70.1% |
東京海上HD | 51.2% | 48.9% | 61.5% |
日本電気(NEC) | 73.7% | 73.0% | 87.2% |
旭化成 | 74.3% | 82.6% | 69.8% |
野村HD | 59.9% | 57.3% | 87.7% |
日本生命保険 | 38.8% | 40.1% | 33.3% |
日本電信電話(NTT) | 77.6% | 78.8% | 73.6% |
三菱商事 | 64.4% | 66.2% | 64.9% |
三菱重工業 | 73.3% | 80.0% | 52.7% |
ヴェオリア・ジャパン | 67.5% | 71.3% | 38.9% |
三菱UFJFG | 49.6% | 52.7% | 58.7% |
名誉会長・歴代会長企業 | |||
トヨタ自動車 | 66.7% | 66.5% | 57.8% |
キヤノン | 75.0% | 74.5% | 75.0% |
東レ | 71.2% | 83.1% | 56.7% |
※持ち株会社(フィナンシャルグループ=FG、ホールディングス=HD)は、各社の中核企業を掲載しました。みずほFGはみずほ銀行、三井住友FGは三井住友銀行、パナソニックHDはパナソニック、アサヒグループHDはアサヒビール、東京海上HDは東京海上日動火災、野村HDは野村証券、日本電信電話はNTT東日本、三菱UFJFGは三菱UFJ銀行
※三井住友FGの「パート・有期労働者」は、対象者が女性のみのため、男女の賃金の差異を算出していません
※三菱重工は、「全労働者」「パート・有期労働者」の人員数について、労働時間を基に換算して算出
男女賃金格差の情報開示は、小池晃書記局長はじめ日本共産党国会議員団が長年にわたり繰り返し要求。2022年1月の衆院本会議で志位和夫委員長が企業に対する実態公表の義務付けを迫ったのに対し、岸田文雄首相が初めて検討すると答弁し、その後の連続した党国会議員団の追及で実現したものです。
男女賃金格差は、全労働者の比較とあわせて、正規雇用労働者(直接雇用し、期間の定めがないフルタイム労働者。短時間正社員を含む)、非正規雇用労働者(パート・有期雇用労働法の短時間労働者と有期雇用労働者。派遣労働者は除く)とそれぞれの間の格差が公表されています。
会長企業の住友化学では、全労働者の賃金格差は74・9%で、正規雇用間でも75・9%ありました。会長を経験したトヨタ自動車は、同じく66・7%、66・5%でした。
深刻な格差となっているのが金融・保険業です。日本生命は、全労働者の格差が38・8%、正規雇用40・1%で、非正規雇用ではさらに33・3%と低く抑えられている実態が明らかになりました。三井住友銀行は、非正規雇用が女性だけで、男女の賃金格差を算出していませんでした。
明らかになった賃金格差の原因究明と、格差を是正するための方策が求められています。
政府も原因究明し是正を
田村智子政策委員長・参院議員
男女賃金格差の公表義務づけによって、日本を代表する大企業の深刻な男女賃金格差が明らかとなりました。「女性活躍推進法」では、企業に行動計画の策定を義務づけています。企業は、格差の実態と理由を明らかにし、格差是正の目標と具体の方針を持つべきです。政府も企業任せにせず、格差の原因究明、是正のための方策を持つことが求められます。
同じ仕事でも総合職と一般職で初任給から格差を当然とする「コース別」人事、圧倒的に非正規雇用に女性が多いなど、間接差別を容認してきた政治の責任も問われます。同一労働同一賃金、均等待遇など、労働法制の抜本的な改革へ、労働組合や女性のみなさんとも力をあわせて取り組む決意です。
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