Change.orgから新たな署名が紹介されました。
寒風の街頭でマイクを握りしめる。こびりついた記憶と強い思いを、一語一語に込めて。今年最後の「6・9行動」の日、84歳の被爆者が訴えました。
「うじのわいた死体を焼くにおいと黒煙が、いまだに忘れられない。人間の尊厳などあったものではない。生き残った者も差別にさらされた」。原水爆禁止、被爆者救援の連帯行動として60年代から呼びかけられてきた6・9行動は、毎月の6日、9日に全国各地でとりくまれてきました。
ヒバクシャ国際署名とともに、被爆者を真ん中にして、雨の日も風の日も粘り強く続けてきた市民協働の運動。一つ一つの訴えや署名は国際世論を動かし、核兵器禁止条約へと結びつきました。
志半ばで亡くなっていった被爆者をはじめ、反核平和を求めてきた草の根の活動が世界に認められた日本被団協のノーベル平和賞。田中熙巳代表委員は授賞式の講演で、人類が核兵器で自滅することのないよう改めて呼びかけました。
ロシアのウクライナ侵略と核の脅し、核保有国イスラエルによるガザや周辺国への攻撃。核の恐怖がふたたび世界を覆うことに「限りない悔しさと憤り」を覚えると。それは、何十万人もの原爆死者への償いを一貫して拒み、核禁条約に背を向ける日本政府に対しても。
「自分たちが体験した悲惨な苦しみを二度と、世界中の誰にも味わわせてはならない」。未来の犠牲者をつくらせないと次の世代に思いを託す被爆者。若者たちが手を携え、核兵器も戦争もない世界を実現する姿を。
「核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いです」
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員は10日、ノーベル平和賞授賞式(ノルウェー・オスロ)の講演でこう強調しました。
13歳のとき長崎で被爆した田中さんは、その筆舌に尽くし難い体験を語りました。淡々とした口調のなかに込められた、核兵器は人類と共存できないし、させてはならないという強い信念が、聞く者の胸を打ちました。
核威嚇を繰り返し、核戦力の増強をはかる核保有国、その「核抑止力」に依存する同盟国は、この訴えに応え、核兵器廃絶を決断し、足を踏み出すべきです。
■世界を動かす証言
ノーベル委員会のヨルゲン・バトネ・フリードネス委員長はスピーチで、被爆者は「核兵器によって引き起こされる想像を絶する痛みや苦しみを、自分のものとして実感する手助けをしてくれています」と述べました。この「実感」が世界を動かしてきました。
核兵器禁止条約は国連加盟国の半数近くが署名するなど、核兵器廃絶の世界的な流れを支えています。この条約を実現する原動力の一つが、核兵器を道徳的、人道的観点から議論する新たなアプローチでした。
田中さんは講演で、被爆の実相に関する国際シンポジウムや国連軍縮特別総会など、1970年代からの国際的な活動も紹介しました。この長年の努力が、世界の人々と為政者たちの認識を深め、禁止条約の実現へと向かわせたのです。
ヒロシマ・ナガサキの実相を広げることは、核使用を抑える「核のタブー」を強化し、核兵器廃絶への道を照らす「光」となっています。
■国家補償の実現を
石破茂首相は同じ10日、衆院予算委員会で、日本被団協に祝意を述べる一方、「核の傘」を含む拡大抑止を肯定し、禁止条約の署名・批准を拒む態度を示しました。オスロとは対照的な光景でした。このような被爆国にあるまじき政治を続けさせるわけにはいきません。日本は「核の傘」から脱却し、すみやかに禁止条約に参加すべきです。
原爆被害に対する国の償い(国家補償)を求める被爆者の声にどう応えるのかも、日本政府に厳しく問われています。
田中さんは講演で、援護施策の拡充をかち取ってきた運動の歴史を語りました。しかし、「何十万人という死者に対する補償は一切なく、日本政府は一貫して国家補償を拒み、放射線被害に限定した対策のみを今日まで続けてきています」と力をこめ、しかもこの言葉を2度繰り返し、強い憤りを表しました。
日本政府の姿勢に、世界の厳しい目が向けられています。石破政権は、国家補償の実現と援護施策の抜本的拡充をただちにはかるべきです。
田中さんは最後に、被爆者の証言が「自国の政府の核政策を変えさせる力」になることを願うと述べました。日本共産党は、被爆者と固く連帯し、非核の日本と世界の実現に力を尽くしていきます。
被団協に敬意 NYで集会
【ニューヨーク=柴田菜央】ノルウェーのオスロで日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞授賞式が開かれた10日、米ニューヨーク市の日本総領事館前で平和団体が集会を開きました。長年にわたる被爆者の草の根の運動をたたえ、核兵器廃絶に向けて行動を強めようと決意を示しました。
集会は「核のない世界のためのマンハッタン・プロジェクト」など地元の平和団体が共催しました。参加者は「ノーベル平和賞! 被爆者」と書かれた横断幕を掲げ、「受賞者をお祝いしましょう」と道行く人に呼びかけ。平和賞のメダルと折り鶴のマークを載せた、日本被団協の受賞を知らせる手のひら大の紙を配ると、うなずきながら受け取る人の姿がありました。
「パックス・クリスティ・インターナショナル」のメアリーさんは、原爆投下という米国の「目にあまる犯罪」に対して寛大な精神で活動を続けてきた日本被団協のメンバーに敬意を表明。「私たちは米国人として、この非常に残忍な兵器を廃絶するために不断の努力をする特別の義務を負っている」と話し、行動に励むと誓いました。
「ピースアクション・ニューヨーク州」のサリー・ジョーンズさん(75)は、2014年に広島を訪れた経験を話し、「被爆者の証言は世界中の人びとの心を動かしている」と強調。若い世代が被爆者の声を聞く機会をもてるよう、できる限りのことをしようと呼びかけました。
和歌山 桃や梅など虫害5千樹
紙議員が調査
和歌山県の主要産品、桃や梅を脅かすクビアカツヤカミキリの急拡大で日本共産党の紙智子参院議員は11日、和歌山県橋本市などで被害調査をしました。
2012年に愛知県で被害確認されて以降、各地に広がり和歌山県ではわずか数年で4909樹(桃、スモモ、梅)、農地以外(桜など)365樹と被害が広がり(10月末現在)、梅の大産地、みなべ町と田辺市まであと一歩と迫っています。
紙氏に状況を説明した和歌山県果樹試験場かき・もも研究所の和中学所長は「当初からとりくんできたが被害が拡大している。農薬の防除は難しい」と危機感をあらわにし、開発したばかりの防除ネットによる対策を報告しました。
被害農家(66)は「若木以外ほぼ全滅です。このままでは和歌山から、桃、スモモ、梅という産業がなくなってしまう」と苦渋をにじませました。紙氏は「国会に戻り、しっかり対策をとれるようやりたい」と述べました。
田村委員長 首相「よらず」発言批判
日本共産党の田村智子委員長は11日、国会内で記者会見し、同日の衆院予算委員会での自身の質問で、国連女性差別撤廃条約に関して個人通報制度などを盛り込む選択議定書の批准を求めた際、石破茂首相が「この制度によらずとも、女性差別の完全撤廃、男女共同参画社会の確立に向けて政府として可能な限り努力したい」と答えたことに言及。「耳を疑う驚きの答弁だ」と批判しました。
田村氏は、「女性差別撤廃条約に向き合ってジェンダー平等を進めるのが批准国である日本政府の責務だ」と強調。「『よらずとも』などと主張する批准国は他にあるのか。どこまで日本は非常識な国なのかという答弁だった」と断じました。そのうえで、「今後の質疑でもただしていかなければならない」と述べました。
尹氏を容疑者と明記
【ソウル=栗原千鶴】韓国警察の特別捜査団は11日、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の「非常戒厳」宣言をめぐり、内乱などの容疑で大統領府の家宅捜索に踏み切りました。 しかし、大統領府は捜索を認めず、強制捜査は翌日以降に持ち越されました。
現地メディアは、令状に尹氏が容疑者と明記されていたと報じています。 同氏は、内乱罪で刑事捜査の対象になっており、出国禁止の措置を受けています。
特別捜査団は同日、警察庁、ソウル警察庁、国会警備隊も家宅捜索。 警察庁の趙志浩(チョジホ)長官とソウル警察の金峰埴(キムボンシク)長官を内乱容疑で緊急逮捕しました。 3日の戒厳令下で国会に議員が入るのを警察官に妨害させた疑いがあります。
また検察は10日夜、戒厳を助言したとされる金龍顕(キムヨンヒョン)・前国防相を内乱と職権乱用の容疑で逮捕。 この事件では初の逮捕者となりました。
刑法は憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした場合などに内乱罪を適用。 死刑または無期懲役を科すなどの重罪です。
金前国防相の逮捕状には、内乱容疑の「重要任務従事者」と明記されました。 内乱罪は処罰対象を首謀者と重要任務従事者、同調者の3段階で規定。 検察は、尹氏を金前国防相と共謀した「首謀者」と位置付けています。
野党側は12日午後、国会に2度目の弾劾訴追案を提出するとしています。 可決には与党「国民の力」から8人の賛成が必要で、市民は同党の本部前で連日、賛成するよう抗議の声をあげています。 11日までに5人の与党議員が賛成票を投じると表明しています。
核なき社会へ共に
田中熙巳代表委員講演 会場総立ち
【オスロ=加來恵子】ノルウェーの首都オスロで10日、被爆の実相を世界に広げ、「核タブー」の確立に大きく貢献したとして、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞式が行われました。日本被団協を代表して田中熙巳(てるみ)代表委員が講演。箕牧智之(みまきとしゆき)代表委員が賞状、田中重光代表委員がメダルを受け取りました。(関連記事)
ノーベル委員会のヨルゲン・バトネ・フリードネス委員長は、これまで13回にわたる平和賞が平和運動に携わる人々に授与され、その度に核兵器に対する警告を世界に発してきたと指摘。より不安定な核時代を迎えようとしているとして「この警告は例年より重要だ」と強調し、「みんなで核タブーを守る努力をしよう。私たちの生存はそれにかかっている」と指摘しました。
着物姿の日本被団協のメンバーや中満泉国連軍縮担当上級代表らが見守る中、田中熙巳代表委員が講演しました。自身の被爆体験とともに日本被団協の運動の歴史を紹介。原子爆弾被爆者に対する援護の法律は1994年に制定されたが、死者に対する補償は一切なく、日本政府は一貫して国家補償を拒んでいると2度にわたり批判しました。
核兵器禁止条約のさらなる普遍化と核兵器廃絶の国際条約の策定を目指し、原爆体験者の証言の場を各国で開くよう訴え。「人類が核兵器で自滅することのないように。核兵器も戦争もない世界の人間社会を求めて共に頑張りましょう」と呼びかけました。
講演が終わると会場から1分以上にわたり割れんばかりの拍手が鳴り響き、参加者はスタンディングオベーションでスピーチを歓迎しました。
田村委員長「政治の責任で」
衆院予算委
「大企業に対し、利益のため込みを賃金に回し応分の負担をするよう求めずに、どうして大幅な賃上げができるのか」―。日本共産党の田村智子委員長は11日の衆院予算委員会で、賃上げを抑制する一方、法人税減税を進めるなどして大企業の内部留保を増加させてきた自民党の政策を批判し、内部留保への課税で賃上げを実現するよう求めるとともに、ケア労働者の賃上げへの抜本的対策を政治の責任で行うよう要求しました。(論戦ハイライト)
田村氏は、「大企業を中心とした高水準の企業収益の一方で賃金が伸び悩んだ結果、内部留保が増加した」という石破茂首相の本会議(3日)での答弁をあげ、「これまでの政策の結果だ」と批判。石破首相は、人件費の割合などは「企業の判断だ」などとしながら「検証は必要だ」と認めました。
さらに田村氏は、岸田政権のもとで大幅賃上げが進んだというが、昨年の大企業の内部留保の積み増しが過去最大の28兆円だと指摘。同じ時期、物価高騰で国民の暮らしは厳しさを増し「食料支援の列に現役世代の姿が絶えなくなっている」と述べ、賃金に回らなかった内部留保を、労働者全体の賃金に回す政策転換が必要だと主張。日本共産党の内部留保課税を財源とした賃上げ政策を提示し、「政治の責任で働く人全体の賃金に回す仕組みを真剣に検討すべきだ」と求めました。
さらに、医療・介護分野での賃下げの実態を説明。日本医労連の調査結果として、年末一時金の平均額が昨年比約10万円減で、年収で賃下げという事態が起きていると告発。介護分野はさらに深刻だと指摘した田村氏は、報酬の度重なる引き下げで「介護職の低賃金構造」がつくられ、4月に基本報酬が引き下げられた訪問介護の事業所の倒産件数は今年10月で過去最多の72件だとして「ただちにマイナス改定を4月にさかのぼって戻すべきだ」と迫りました。
田村氏は、女性差別撤廃条約の実効性を強化するため個人が国連に通報できる制度などを盛り込んだ「選択議定書」の批准を要求。石破首相は司法制度や法律との関連で検討を要するとしたのに対し、田村氏は「批准できる政府をつくらなければ駄目なことが明らかになった。(批准を)検討している四半世紀の間、女性の権利がどれだけ踏みにじられたのか」と厳しく批判しました。