九条の会・三原ニュースvol.53(2013.1.27)に載せていただいた原稿を、
こちらへ転載いたします~
~ 未来を創りだす1人として ~
「日本も終わりですね。私らは戦争に行かんといけんようになるんかな」
「改憲して国防軍を」と主張する自民党が大勝する結果となった衆議院選挙の夜、大学生として1人暮らしをする娘がこんなメールを送ってきました。
<選挙まで>
エネルギー政策、TPP、改憲、経済・雇用対策、社会保障など多くの喫緊の課題が分岐点を迎える「とにかく大切な選挙!」と、我が家は夫婦で「まわりの人と選挙の話をする」「投票に行くよう呼び掛ける」ことを行いました。とても多くの方から伺ったのは、「自民党はダメ、民主党に託してみたがダメだった。入れたいところがない」「民主党がマニフェストを覆したので、どの政党にしても、選挙戦で訴えていることを実際にやるのかどうか信頼できない」など政治への不信感、そして次に、政党の乱立による、それぞれの主張の分かりにくさでした。
一方でインターネットでは、各政党を政策別に比較するホームページや、各政策への賛否を選んでいくと「あなたの考えに合うのは○○党です」と答えてくれるホームページなど、これまで以上に多くの人が自主的に、選挙についての情報提供や、投票の呼び掛けを行っていたように感じます。そして、基本的人権の縮小や国防軍の明記など自民党改憲案の危なさを伝えるメールも、多くの方からいただきました。にも関わらず、戦後最低の投票率という結果は、現状に危機感を持つ人と、無関心の人との間が、河口に向かうと川幅が広がるように大きくなりつつあり、流れを溯って、その水(想い)の湧き出るポイントを多くの人と共感・共有していくことが必要なのだと感じています。
<選挙の結果>
様々なメディアですでに報じられていますが、大勝したと言われる自民党は、小選挙区では43%の得票率で79%の議席占有率(民主党は23%の得票率で9%の占有率)であり、小選挙区候補の全得票に占める「死票率」は56.0%(前回46.3%)にも上り、小選挙区制度の問題点が指摘されています。自民党の比例区での得票率は27.6%で、大敗した前回衆院選に比べてわずか1%伸びているだけです。結果として多くの議席を得たとは言え、民意を得た大勝とは言えないでしょう。
それにしても残念なのは、投票率の低さでした。深刻な原発事故を受けて、いまだに多くの人が苦しみ、健康被害を受けている現状がありながら、原発をきっぱりやめる選択ができなかったことは、とても残念です。「エネルギー政策」として捉えれば1つの争点に過ぎませんが、「被害者を生み出しても、電気をつくるため、経済のためには仕方ない」ことにして良いのかどうかという倫理的な問題として捉えるなら、他の政策にも通じる課題で、メディアでももっと重要な問題として報じていただきたかったところです。また、「自民党大勝利」と先行する予測報道が投票率を引き下げたのではないかとも指摘されています。
<未来を創りだす1人として>
エネルギー政策について、民主党政権時の「2030年に原発稼働をゼロ」「原発の新増設は行わない」方針を、現政権で見直す方向のようです。「国民的議論」のあり方として充分ではなかった点も感じていますが、それにしても、昨年、オープンな議論を試み、「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめたことは大きな進展であり、またその結果の「戦略」は、政権が変わっても尊重されるべきもので、それを見直すのであれば、さらなる進化した「国民的議論」を経る必要があります。
昨年は、「みんなのエネルギー・環境会議 広島」や、エネルギー・環境の選択肢に関する国家戦略室の説明会を市民セクターとして主催するなど、より多くの人とともに考え、議論する場をつくりたいと動いてきました。力による変化でない限り、社会を変えていくということは、行きつ戻りつを繰り返しつつ、少しずつ変わっていくもの。揺らがず、たゆまず、望ましい未来を求め、自分たちで考え、自分たちの居場所で議論の場をつくり、政策反映へとつながる国民的議論、世論づくりを試みていきたいと思います。
冒頭の娘からのメールですが、我が子はもちろん、すべての子ども・若者(もちろん大人も!)が戦争に巻き込まれることがあってはいけないし、理不尽な被害を受けることなく、怖れや不安から自由になれる未来を創りだす1人として、今年も歩みを進めていきたいと思います。
※ 投票結果の分析について、守田敏也さんのブログ「明日に向けて」、田中優さんのメルマガ「田中優の“持続する志”」を参考にさせていただきました。
こちらへ転載いたします~
~ 未来を創りだす1人として ~
「日本も終わりですね。私らは戦争に行かんといけんようになるんかな」
「改憲して国防軍を」と主張する自民党が大勝する結果となった衆議院選挙の夜、大学生として1人暮らしをする娘がこんなメールを送ってきました。
<選挙まで>
エネルギー政策、TPP、改憲、経済・雇用対策、社会保障など多くの喫緊の課題が分岐点を迎える「とにかく大切な選挙!」と、我が家は夫婦で「まわりの人と選挙の話をする」「投票に行くよう呼び掛ける」ことを行いました。とても多くの方から伺ったのは、「自民党はダメ、民主党に託してみたがダメだった。入れたいところがない」「民主党がマニフェストを覆したので、どの政党にしても、選挙戦で訴えていることを実際にやるのかどうか信頼できない」など政治への不信感、そして次に、政党の乱立による、それぞれの主張の分かりにくさでした。
一方でインターネットでは、各政党を政策別に比較するホームページや、各政策への賛否を選んでいくと「あなたの考えに合うのは○○党です」と答えてくれるホームページなど、これまで以上に多くの人が自主的に、選挙についての情報提供や、投票の呼び掛けを行っていたように感じます。そして、基本的人権の縮小や国防軍の明記など自民党改憲案の危なさを伝えるメールも、多くの方からいただきました。にも関わらず、戦後最低の投票率という結果は、現状に危機感を持つ人と、無関心の人との間が、河口に向かうと川幅が広がるように大きくなりつつあり、流れを溯って、その水(想い)の湧き出るポイントを多くの人と共感・共有していくことが必要なのだと感じています。
<選挙の結果>
様々なメディアですでに報じられていますが、大勝したと言われる自民党は、小選挙区では43%の得票率で79%の議席占有率(民主党は23%の得票率で9%の占有率)であり、小選挙区候補の全得票に占める「死票率」は56.0%(前回46.3%)にも上り、小選挙区制度の問題点が指摘されています。自民党の比例区での得票率は27.6%で、大敗した前回衆院選に比べてわずか1%伸びているだけです。結果として多くの議席を得たとは言え、民意を得た大勝とは言えないでしょう。
それにしても残念なのは、投票率の低さでした。深刻な原発事故を受けて、いまだに多くの人が苦しみ、健康被害を受けている現状がありながら、原発をきっぱりやめる選択ができなかったことは、とても残念です。「エネルギー政策」として捉えれば1つの争点に過ぎませんが、「被害者を生み出しても、電気をつくるため、経済のためには仕方ない」ことにして良いのかどうかという倫理的な問題として捉えるなら、他の政策にも通じる課題で、メディアでももっと重要な問題として報じていただきたかったところです。また、「自民党大勝利」と先行する予測報道が投票率を引き下げたのではないかとも指摘されています。
<未来を創りだす1人として>
エネルギー政策について、民主党政権時の「2030年に原発稼働をゼロ」「原発の新増設は行わない」方針を、現政権で見直す方向のようです。「国民的議論」のあり方として充分ではなかった点も感じていますが、それにしても、昨年、オープンな議論を試み、「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめたことは大きな進展であり、またその結果の「戦略」は、政権が変わっても尊重されるべきもので、それを見直すのであれば、さらなる進化した「国民的議論」を経る必要があります。
昨年は、「みんなのエネルギー・環境会議 広島」や、エネルギー・環境の選択肢に関する国家戦略室の説明会を市民セクターとして主催するなど、より多くの人とともに考え、議論する場をつくりたいと動いてきました。力による変化でない限り、社会を変えていくということは、行きつ戻りつを繰り返しつつ、少しずつ変わっていくもの。揺らがず、たゆまず、望ましい未来を求め、自分たちで考え、自分たちの居場所で議論の場をつくり、政策反映へとつながる国民的議論、世論づくりを試みていきたいと思います。
冒頭の娘からのメールですが、我が子はもちろん、すべての子ども・若者(もちろん大人も!)が戦争に巻き込まれることがあってはいけないし、理不尽な被害を受けることなく、怖れや不安から自由になれる未来を創りだす1人として、今年も歩みを進めていきたいと思います。
※ 投票結果の分析について、守田敏也さんのブログ「明日に向けて」、田中優さんのメルマガ「田中優の“持続する志”」を参考にさせていただきました。
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