よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

日本の貧困と経済学の貧困 3 古典派・現代正統派批判

2024年11月25日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る「均衡理論」の陥穽貯蓄と投資は利子によって均衡する(一致する)         ⇒借りられない資金は存在しない商品の供給と需要は商品の価格によって均衡する⇒商品の供給は自らの需要を創り出す労働の需要と供給は賃金によって均衡する⇒労働市場において非自発的失業は存在しない。失 . . . 本文を読む

日本の貧困と経済学の貧困 2 

2024年11月18日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る経済学の貧困を表す三つの定式 古典派・現代正統派は以下の前提に立っている。自ら意識していないであろうが「暗黙の前提」になっている。定式化するとあまりにも荒唐無稽なので古典派・現代正統派は決して定式化しようとはしない。 定式化されていないが以下の三点の前提がある。そうでないと古典派・現代正統派の主張は理解することすら難しい。理解すると是とするは別問題だ . . . 本文を読む

日本の貧困と経済学の貧困 1

2024年10月23日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る 1997年から27年間、日本経済は長期にわたる停滞を続けてきた。一世代を30年とすれば、27年間はほぼ一世代である。一世代は人々の意識を変えるには十分な時間であって、新自由主義という「ものの見方」が世を覆ってしまった。このものの見方は経済で考えると自由放任主義である。「ものの見方」はイデオロギーとも言う。 このイデオロギーのもとでは停滞の原因として . . . 本文を読む

日本の貧困 5 税と社会保障の現実

2024年09月30日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る 市場原理の下で格差が広がるのはいわば「自然」のことである。前回見たように共働き世帯の方が格差が広がるというのは日本独自の事情があるが・・・ 自然のままなら、自由放任体制では格差は社会が耐えがたいほどに広がる。税と社会保障による再分配政策が先進国で行われている理由である。日本の現状を見てみよう。税制のゆるやかな累進性、社会保障の逆進性 以下は2023 . . . 本文を読む

日本の貧困 4 共働きの絶望 二人以上の勤労者世帯の現実

2024年09月26日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る 以下は2023家計調査年報を筆者が加工したデータを基にしている税と社会保障の給付と負担  上図は家計調査を基にした税と社会保障の給付と負担の実際である。医療、教育等の現物給付は入っていない。給付と負担の各項目は以下のとおりだ。グラフのローマ数字の上は年収の幅を示している。Ⅰ(第1十分位)は405万円以下ということだ。給付:公的年金給付、他 . . . 本文を読む

日本の貧困 3 前提を失った「この価値観」とその影響

2024年09月20日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る男性の年代別年収はどうなっているのか「この価値観」のもとでは婚姻の有無は男性の年収と強い関係がある 男性・女性の平均年収は民間給与実態統計(国税庁)をみればすぐに分かる。前々回は年収階級別の男女それぞれの人数を見たが、年齢階級別の平均年収も同じ統計にある。  民間給与実態調査で言う給与とは年間収入のことである。源泉徴収を受けている人のみであ . . . 本文を読む

日本の貧困 2 年収と婚姻の関係

2024年09月11日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る  「男性生計中心者-専業主婦モデル」を規範としている「この価値観」は成り立つだろうか? 下図は年収と婚姻率の関係を示している。  2024年度年次経済財政報告(いわゆる経済白書)には上のようなグラフが掲載されている。グラフの元データは就業構造基本調査。元は未婚率だが筆者で婚姻率に加工した。婚姻・未婚は現在の状態のことで . . . 本文を読む

日本の貧困 1 日本は男女不平等の国 年収の男女格差

2024年09月04日 | 先進国の経済学
 先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る  上図は年収を100万円と500万円で刻み、そこに何人いるかを表したものだ。元データは国税庁の「民間給与実態統計」である。国税庁は源泉徴収というシステムによって雇用者の賃金を全て把握している。抽出調査だが500人以上の事業所については全数調査である。ここで言う雇用者は一年以上勤務した者となっている。つまり雇用者の年収という意味ではこれ以 . . . 本文を読む

貯蓄・投資バランスこそが問題の鍵

2024年06月10日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る ここまでで主張してきたことは商品の価格は需給バランスでは決まらない。利潤が最大化するところで供給は止まり、その時全ての需要が満たされているか、完全雇用が実現されているかは分からない。先進国では「有り余る富(貨幣)」が発生する。逆に言えばこれが先進国の定義である。 日本は後進国になった、三流国だ、と言い募る人々がいる。これはそういう人々のポジションだ . . . 本文を読む

貯蓄と投資の関係とは?

2024年06月03日 | 先進国の経済学
先進国の経済学 目次へ戻る本ブログ 総目次へ戻る 企業に限らず家計も収入の基になるのは誰かの支出である。その意味で収入=支出となるが、これでは収入-支出=ゼロとなり貯蓄ゼロの世界となってしまう。 なぜこのようなことになるのか?収入、消費、投資を見直してみよう 家計にとっての収入は、ほぼ賃金である。賃金は所得である。経済学は家計にとっての収入がほぼ賃金であるような世界を対象としている。企業にとっての . . . 本文を読む