一般理論を読む 目次 この章では、古典派の利子率理論批判を通して、ケインズ自らの利子率の一般理論を展開している。その批判されている古典派の利子率理が「異次元の金融緩和」の指導理論である。 また一般理論で「唯一のグラフ」が登場することでも有名?である。 この章と次の付論を筆者自身は「一般理論」のなかで最も難解だと思う。 この章を理解できなければ、マイナス金利でも借り手がいな . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次第14章 古典派の利子率理論 うっかり騙されないように前回の引用テキストの批判を行ってみよう。ケインズの手になる古典派の利子率理論の要約であり、現代正統派の標準理論である。 文章ごとに番号を振る。①人が貯蓄という行為を行うときには、彼はいつも自動的に利子率を引き下げる行為をなしており、自動的に利子率を引き下げる行為をなせば、自動的に資本の生産を刺激する、と考えてい . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次利子をいくら下げても、それだけでは、需要は生まれない マイナス金利の陥穽利子率と利潤率の関係とは? ここからケインズは古典派の利子率理論批判に移るが、リカードの利子率理論のところだけで十分であろう。ただし難解。難解である理由は「常識が邪魔をするから」。リカードの利子率理論とは 貨幣に対する利子を規制するのは5パーセント、3パーセント、2パーセントといったイングランド銀行(th . . . 本文を読む
内発的動機があれば不可能はない(扉絵)一般理論を読む 目次motive 、incentive、inducement の違い この章には「流動性の罠」が登場するが、その前に上記概念を検討する。筆者が気になっただけである。流動性への動機の解明―流動性選好ってなぜ起きる? ここは一般理論の論旨を追っていくと結構難解である。「あらかじめ予想される論点」を網羅しているからである。さらに翻訳の問題がある。と . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次人々はなぜ現金を保有するのか? 流動性への動機 この章でのケインズの理論は“実は”簡明である。さらに「流動性の罠」について言及がある。実際にケインズが行っていることは金融市場の分析である。 まず第一撃でここで、第13章で予備的に導入した流動性への動機について、さらに分析を深めておかなければならない。これから論じようとすることは、従来、貨幣需要という見出 . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次取引動機と予備的動機を満たすために保有する現金量をM1、投機的動機を満たすために保有する現金量をM2としよう。これら二つの現金区分に、二つの流動性関数L1とL2を対応させる。L1は主として所得水準に依存し、L2は主として現行利子率と期待の状態の関係に依存する。そうすると、M=M1+M2=L1(Y)+L2(r)となる。ただし、L1は所得Yに対応する流動性関数で、M1を決定し、L . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次公開市場操作と流動性の罠流動性の罠を言い出したのはヒックスで、現代日本で広めたのはクルーグマンだろう。本稿で一般理論の該当箇所に言及するが、従来の解釈は間違っていると思われる。なぜなら有効需要の概念がないから。このように見て来ると、利子率が高度に心理的現象であることは明白である。たしかに、第5篇で見るように、均衡利子率は完全雇用利子率を下回る水準にはありえない。なぜなら、この . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 「くさぐさの」 って何?原文は、SUNDRY OBSERVATIONS ON THE NATURE OF CAPITAL sundry expenses は雑費だから、訳者が「資本の性質に関する諸考察?資本雑考ではねえ」と考えた結果だろう。全体としては脱線だが、脱線だからこその記述に満ちている。 勤倹貯蓄は褒められる美徳ではない、という「良識人」が眉をひそめるようなことが . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 ケインズは大恐慌の勃発、経済変動の大転換点で社会主義を展望する。これは弁証法的唯物論だ。完全雇用状態にあって、資本の限界効率に等しい利子率で社会が貯蓄を行い、その貯蓄量に見合った率で〔資本〕蓄積が進むと、それに応じて資本の限界効率はしだいに低下していく。このとき、理由は何にせよ、もし利子率が資本の限界効率と歩調をそろえて低下することができないとしたら、その場合には富を保有し . . . 本文を読む
一般理論を読む 目次 前回「難解と言われている一般理論の中でも超難解」と書いてしまったが、マルクスの貨幣に対する物神崇拝論を読んでいると難解でもなんでもない。人々はなぜこんなに貨幣が好きなんだろう、という話である。 第4章末尾で指摘しておいた「一般理論の中でも後に詳述されるので、ここではこれ以上触れないが、貨幣が様々な財やサービスの一般的等価物である、ということは一般理論の重要な前提となっている . . . 本文を読む