よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

第五編のまとめ その1 :古典派、現代正統派経済学の否定=ケインズが根本から袂を分かつ「この種の分析」

2022年04月30日 | 一般理論を読む 改訂版
賃金を下げても完全雇用は達成できない消費性向、資本の限界効率、利子率が有効需要の総量を、従って雇用量と賃金総額を決める第五編のケインズの論理展開はわかりにくかった。それは古典派の議論の背景にはこういう「理論」があるだろうと指摘しその理論を、その「理論」そのものによって論駁するそのために古典派理論が成立する前提を吟味し実際の世界では何が起きているかを対置するという面倒な論理展開になっているからである . . . 本文を読む

第五編のまとめ その2  :貨幣賃金の切り下げは消費性向、資本の限界効率表、利子率にどのような影響があるか

2022年04月30日 | 一般理論を読む 改訂版
現代正統派は、効率、競争を好み、浪費、無駄を嫌うが、不完全雇用とは、人間の能力の開花を妨げ労働力をドブに捨てている最大の無駄だとは気づかない労働力商品の特殊性こそ鍵となる―不況の時、操作すべきは貨幣量か?賃金か?貨幣量が事実上固定されているとしたら、賃金単位で測った貨幣量は貨幣賃金を十分切り下げることによってどこまでも増やすことができるのは明白である。しかも所得に対する貨幣の相対量は一般には大きく . . . 本文を読む

第六編 一般理論の示唆するもの―短い覚書 を検討する前に

2022年04月29日 | 一般理論を読む 改訂版
原著では以下のようになっておりBOOK Ⅴ(第五編)の次のBOOK Ⅵ (第六編)というのは存在しない。どうでもいいかもしれないが、一般理論の展開はは第五編で終わっているということだ。成し遂げたぜ!Book V: Money-wages and Prices 19. CHANGES IN MONEY-WAGES   o  PROFESSOR PIGOU'S 'T . . . 本文を読む

第22章 景気循環に関する覚書 (現代正統派にはない「期待の崩壊」という視点)

2022年04月28日 | 一般理論を読む 改訂版
自由放任下で完全雇用が不可能である以上、好況は長続きしない ケインズは「第16章資本の性質に関するくさぐさの考察」において、自由放任下での完全雇用達成の不可能性命題を提起している。(本ブログ”第16章 資本の性質に関するくさぐさの考察 (自由放任では完全雇用を達成できない 資本主義の非営利化という課題)”参照)自由放任下では完全雇用が不可能であるということは、好況は長続きし . . . 本文を読む

第23章 重商主義、高利禁止法、スタンプ付き貨幣および過少消費理論に関する覚書 上 (ケインズの国際貿易論)

2022年04月27日 | 一般理論を読む 改訂版
重商主義:富とは金(や銀、貨幣)であり、国力の増大とはそれらの蓄積である という考え方が根底にあり、金を産出しないイギリスにとっては 重商主義は、国家の輸出を最大化し、輸入を最小化するように設計された国家的な経済政策であり、16世紀から18世紀の原始工業化時代のヨーロッパ地域で支配的な考えであった。つまり重商主義は保護貿易主義であり、貿易黒字こそ国力であるという考え方となる。日本が明治維新以来現在 . . . 本文を読む

第23章 重商主義、高利禁止法、スタンプ付き貨幣および過少消費理論に関する覚書 下  (反古典派の系列について)

2022年04月27日 | 一般理論を読む 改訂版
 先行する議論を検討することによって一般理論の特徴が鮮明になっているのがこの章である。読むのは大変だが興味深い章となっている。先行する反古典派としてシルヴィオ・ゲゼル、マンデヴィル、ホブソンとマクマリー、ダグラス少佐が登場する。いちいち紹介することはしないので原著に当たっていただきたい。高利禁止法・スタンプ付き貨幣 前回までは、重商主義を検討し、自主的な利子率決定と国家的な投資計画が利用可能になっ . . . 本文を読む

第24章一般理論がいざなう社会哲学―結語的覚書 筆者訳全文公開

2022年04月27日 | 一般理論を読む 改訂版
 これで一般理論コメンタールも三周目を終えた。達成感と徒労感が相半ばと言ったところかな。科学として、前提条件を明らかにして理論を構築するということがなくなり、それこそ最低の社会性もかなぐり捨てて経済学の基本に個人を置く。その個人を対象に理論を展開すると自己責任論に行き着く。その過程をこの50年間見てきたような気がする。 自己責任論は裏側に力の論理を持つ。力の論理とは戦争の論理だが、自己責任論の根底 . . . 本文を読む