よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

一般理論を読む 改訂版 はじめに

2022年05月31日 | 一般理論を読む 改訂版
*写真はオークションサイトで$9,000~で売られていた初版本はじめに ケインズが一般理論を書いた背景には、自由に対する危機感がある。計画経済のほうが優れているのではないか?という疑問に対しての焦燥感、ナチスやソ連の台頭を前にしての焦燥感でもあり、「自由放任では、肝心の自由が守れない」という理論的確信でもある。  今また世界経済と統治機構の破綻が明らかになりつつある。世界秩序の崩壊も迫り . . . 本文を読む

第1章 一般理論 (「一般」とは何か)

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
一般理論の「一般」とは何か、ということが書いてある章  ケインズが、リ力ード、J・S・ミル、マーシャル、エッジワース、それにピグー教授を「古典派」と呼び、その理論「古典派経済学理論」を批判の対象として執筆したのが「雇用、利子および貨幣の一般理論」である。このタイトル「雇用、利子および貨幣の"一般"理論」の「一般」にに大きな意味があることが読み進めるうちにわかってくる。 . . . 本文を読む

第2章 古典派経済学の公準 (雇用の需給は賃金でバランスする?)

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
ケインズは、「需要と供給が一致する状態を均衡と呼び、均衡は価格の変動によってもたらされる」という考え方に疑問を投げかける。これは労働市場だけではなく全ての市場(財・サービス)においてである。考えてみれば当たり前のことである。価格が半分になったことで需要が2倍になるだろうか?という素朴な疑問。これに古典派は答えられない。常識的な古典派、非常識な一般理論 ケインズは自らの理論を古典派理論批判という形で . . . 本文を読む

一般理論 第三章 有効需要の原理 の前提 豊かになるほどそれに比例しては消費は増えない 

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
限界消費性向低下の法則:所得が増えるほど消費も増えるがその増え方は所得ほどではない これは理論から導き出される結論ではなく、理論の前提となる経験上の事実である。経験上の事実・家計調査に見る限界消費性向低下 政府統計・家計調査は家計の収入を十分位に分けて結果を発表している。図は「二人以上の勤労者世帯」をもとに消費性向と所得の関係を示している。 左図では可処分所得を消費と残余に分けた。残余は何らかの形 . . . 本文を読む

第3章 有効需要の原理 (豊かさの中の貧困というパラドクス)

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
社会が豊かになるほど所得から消費に回る割合は減っていく。貯蓄が増えていくわけだが、それに見合う投資がなければ、貯蓄あるいは所得は弱い投資誘因に見合う水準に減少するまで、貧しくなってしまう。これが日本経済の長期停滞の唯一の原因である。では投資はどのように引き上げるべきか。市場において解決できないなら、再配分と社会的投資によるしかない。のだが・・・有効需要の概念は誤解されている 一般理論「第1編序論」 . . . 本文を読む

一般理論 第三章 有効需要の原理 再考

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
 企業の利潤は、売上から賃金と仕入額を引いたものである。売上=利潤+賃金+仕入額だ。この仕入額は供給先から見れば売上だから、供給先の売上もまた利潤+賃金+仕入額に分解される。この仕入額もまた・・・ということで売上を相殺していけば社会全体で生み出された価値(総付加価値)は利潤+賃金ということになる。ここでは議論の簡略化のために輸出入と資本に関わる費用は省略している。ケインズにならって閉鎖経済系で使用 . . . 本文を読む

第2篇 定義と概念 の前に リフレ派の無知いよいよ第一の山場

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
 第1編でケインズは古典派(リカードに源を持つ論客達)を相手にしていた。第2篇でケインズは目前の資本主義を相手にしている。それは、我々にとってもなじみ深い資本主義である。それは、資本装備が巨大化し「スクラップアンドビルド」が簡単ではなくなった資本主義であり、それは、ケインズが言うところの「アニマルスピリット」が欠けた「とりあえず」やってみようとはならない、長期期待が投資に大きく影響する資本主義であ . . . 本文を読む

第4章 単位の選定 (経済の基礎単位は総付加価値と総賃金だ)

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
この章はなぜ何のために存在するのか? 「第2編 定義と概念」は次の章から構成されている。第4章 単位の選定第5章 産出量と雇用の決定因としての期待第6章 所得、貯蓄および投資の定義付論   使用費用について第7章 貯蓄と投資の意味―続論 ケインズは第2編冒頭に次のように記している。「私が本書を執筆するさい、議論の進捗を図るうえで最も障害になり、そのためなんらかの解決を見るまでは自分の考えを適切に表 . . . 本文を読む

第5章 産出量と雇用の決定要因としての期待 (生産規模も雇用量も事前に決まる)

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
雇用量は期待で決まる! 第二の問題、「経済分析において果たす期待の役割」についての論述である。ただし、詳しくは「第12章長期期待の状態」を待たねばならない。均衡と期待の根本的な違い 均衡は事後的に訪れるものだが、雇用量は事前に「期待」によって決まる。これは日々投資量を決定している資本家には自明のことだが、世間知らずで事後的にしか経済事象が見えない経済学者にはどうしても理解できないことらしい。期待は . . . 本文を読む

第6章 所得、貯蓄および投資の定義 (投資は所得を産みだすが貯蓄は所得を産まない)

2022年05月28日 | 一般理論を読む 改訂版
 「第二編 定義と概念」が書かれた理由は以下のとおりだった。 第一に、経済体系全体に関する問題にふさわしい単位の選定。 ⇒第4章 第二に、経済分析において果たす期待の役割。 ⇒第5章 第三に、所得の定義。 ⇒第6章 第6章は所得の定義に充てられており、そこから貯蓄および投資を定義することで恐るべき結論が出てくる。その一部は第3章有効需要の原理で展開されている。1 所得 . . . 本文を読む