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経済学の貧困 古典派・現代正統派批判 現在更新中
日本の貧困と経済学の貧困 3 new
日本の貧困の実相に迫る
この間の選挙運動が荒れ、トンデモ候補が結構な票を取るようになった。なぜだろう?ということから分析を始めたが、日本の貧困は想像以上だった。マクロの総額しか見ていないとこういうことを忘れがち。
人は将来への希望より恐怖に支配されがちだ。現状の不満が将来への不安となり、それが恐怖に変わると恐怖を煽る人に騙されやすくなる。恐怖に根ざした破壊衝動に駆られ、ありもしない敵を探す。ファシズムの萌芽である。
世間の常識をいかに批判するか
一般均衡論批判と名付けたが、「常識」批判となっている。なぜ世間は貯蓄・投資バランスを見ないで議論するのだろうか。
常識とは
「供給量と需要量を等しくする価格は均衡価格と呼ばれる。その価格で売買される数量は均衡数量だ。均衡価格は市場清算価格と呼ばれることもある。それは、この価格この価格で買いたい全ての買い手がこの価格で売りたい売り手を見つけ、逆もそうなるとことを保証し「市場を清算する」価格という意味だ。」
P・クルーグマン/R・ウェルス「マクロ経済学」
P・クルーグマン/R・ウェルス「マクロ経済学」
よくヒト・モノ・カネと言われるが、経済学ではそれぞれ労働市場・財(商品)市場・金融市場として分析される。この三つの市場がそれぞれ賃金・価格・利子率の上下によって均衡する、というのが一般均衡論(古典派・現代正統派)である。それは常識以上の何ものにも根拠がない。
政府の財政を考える
長々と書いているが、社会保障は経済の重荷ではなく成長の糧だと主張している。生産性とか供給重視の考え方ではこれが分からない。分からないから長期停滞が続いている。
中央政府・社会保障基金・地方政府の連結を一般政府という。最低この一般政府という視点がないと分析はできないのだが・・・
新規国債発行高が、その額以上のGDP増大をもたらせば、国債発行高/GDPは減っていく。やみくもに借金を恐れることこそ財政再建を遅らせる
実質では増加分の77.9%、名目では55.4%。名実ともにこの間のGDP増加の主因となったのは公的需要だ。それを減らせばますます経済は縮小していく
医療と介護がGDPを増大させてきた。ただしこの分野への公的資金の投入は出し惜しみ、出し遅れというしかないが・・・
税と社会保険料を「取られる」という感覚は、それは使われれば職を産み出しGDPを押し上げることが分かっていない。おカネをただ持っていても何も産み出さない。
筆者は政府の再分配が日本経済を破局から救ってきたと考えている。しかし常に再分配構造は攻撃にさらされてきた。この間の高齢化による「意図せざる再分配構造の強化」はそのために、十分には進めることができなかった。これが実は長期にわたる停滞の唯一の原因である。
医療福祉産業が最大の雇用増加を見せている。雇用をゼロから創造してきたのだ。その産業の賃金が他産業より低すぎるのが経済の停滞の原因の一つだ。相対的に低い産業の賃金が上がれば、消費性向からして消費に回る割合は相当に高く、波及効果もまた高いだろう。
減税ではなく、政府自ら事業を行うことである。そこで民間の余剰資金を吸収することである。非営利でその便益が全ての国民に共有されるような事業にである。だから五輪や万博ではないのだ。
一般理論が指摘する先進国特有の性質があるのだ。先進国では、必然的に余剰資金が発生する。それを原資に社会保障の充実を進めていかないと経済は停滞し、社会が貧しくなる、という性質である。
長期停滞の原因は余剰資金を政府が吸収せず、それどころが自身もPB達成という黒字化をめざしたことにある。
1997年から2017年の二十年間で余剰資金は企業に集中し、家計は貧しくなり政府の借金は拡大している。このような事態が金融財政政策の結果としたら、その政策を真剣に再検討する必要があるのではないか。
マスコミ等の典型的主張を取り上げて批判しています。それは世間の常識批判でもあります。
日本経済の将来を悲観しないために ①
常識に反して「高齢化社会」は先進国における経済成長の可能性を開く。政策次第である。企業の減税と家計の増税が消費を圧迫している。動かすべきは企業に対する税のあり方である。
賃金の上昇に一番必要なもの、それは安定した雇用環境である。当たり前のことだが、忘れている人が多すぎる。
賃金総額の伸びほどGDPが伸びないのか?
日本経済の将来を悲観しないために ②
なぜ社会保障の機能強化が唯一の解決策なのか
第3章 有効需要の原理 筆者版翻訳