よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

37:第10章 穴を掘って埋めるとは? 最も流布した一般理論への誤解

2021年04月29日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次 ケインズ的政策とは「穴を掘って埋める」ようなものだ。ムダな公共工事こそケインズ政策を象徴している。いまこそムダを省き、規制を撤廃して成長の原動力を作りださねばならない。 よく聞く話であるが、二重に間違っている。ケインズはそもそもそんなことは言ってないし、供給側をいじくって成長があるはずもない。問題は需要、有効需要の水準なのである。 で、ケインズは何と書いているのか?政策は厳 . . . 本文を読む

38:第3編のむすび いくらあっても価値が減らないものとは・・・

2021年04月26日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次 以下の章からなる「第3編 消費性向」は何気ないが重要な編であった。第8章 消費性向(1)―客観的要因第9章 消費性向(2)―主観的要因第10章 限界消費性向と乗数  消費のことを探求し、豊かな社会ほど投資が重要かつ困難になるということを指摘して終わっている。次編 投資誘因につながっている。豊かな社会で国家が「節約」すると何が起きるのか?要するに、われわれはあまりにも分別があ . . . 本文を読む

39:第4編 投資誘因 第11章 資本の限界効率

2021年04月23日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次THE MARGINAL EFFICIENCY OF CAPITAL 資本の限界効率とはなんぞや? 資本の限界効率、いまいちパッとわかりにくい。Marginalは「限界」で定着している。Efficiency:効率、能率である。   効率?   英和辞書には「機械などの、仕事量と消費されたエネルギーとの比率」とある。投入された資本と収益との比率、ということな . . . 本文を読む

40:第11章 よりみち??? 「取替原価」でいいのだろうか?

2021年04月20日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次取替原価(replacement cost)という概念を持ち出してくるが若干の違和感が残る 一般理論該当箇所には「同型資本もう1単位の期待収益とその1単位を生産するときの費用との関係から、その型の資本の限界効率が与えられる」とあるように、過去の期待収益から導かれる資本効率と今同型資産を購入するときの期待収益の二つがあり、取替原価に対する期待収益が資本の限界効率だと言っている。 . . . 本文を読む

41:第11章 資本の限界効率 利子率は別の次元で決まっており、資本の限界効率にとっての桎梏となる

2021年04月16日 | 一般理論を読む
当期の実際の投資率が、限界効率が現行利子率を上回るいかなる種類の資本資産ももはや存在しなくなるところまで推し進められることは、いまや明らかである。換言すれば、投資率は資本一般の限界効率が市場利子率に等しくなる投資の需要表上の点まで推し進められる。 不況になった時に直ちに遊休資産が現れることを見ても「投資率は資本一般の限界効率が市場利子率に等しくなる投資の需要表上の点まで推し進められる」ことがわかる . . . 本文を読む

42:第12章 THE STATE OF LONG-TERM EXPECTATION=長期期待の状態

2021年04月14日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次 通常、「長期期待の状態」と訳される。そうなんだがピンとこない。 「長期期待の現状はこんな有様」 というような意味だろう。ケインズは「本質的にこうだ」という言い方をあまりしない。見出しでは「第17章利子と貨幣の本質的特性」のみに使われている。本質的にああだ、こうだ、というより現状こうだよね。現実はこうなってるよね。というのがケインズの思考法である。経済学は人間の営みを対象とす . . . 本文を読む

43:第12章 これも誤解がある美人投票のたとえ:株式市場が実体経済を反映しないのは当たり前である

2021年04月12日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次第12章 長期期待の状態  ここで有名な美人投票の喩えが出てくるが、これも例によって誤解されている。この喩えが有名なのはケインズ自身が投資で成功しているからだろう。    このあまりにも有名な美人投票の喩えには「つづき」がある。 あるいは喩えを少し換えてみると、玄人筋の投資は新聞紙上の美人コンテスト、参加者は100枚の写真の中から最も美しい顔かたちの六人を . . . 本文を読む

44:第12章(閑話休題) これまた誤解の山:アニマルスピリット!

2021年04月08日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次 先に、次のように書いた「あらかじめ言っておくとこの章に「アニマルスピリット」という単語が出てくるが、このwiki解説は絶望を通り越してため息しか出ないほど間違っている。えてしてこういうもので、世の中の「一般理論」理解は、ほぼ全部間違いだと言っていいくらいである。余計な事だった。」 アニマルスピリットの話を12章の最後にする。ケインズは不安定性をもたらす要因として投機活動と人 . . . 本文を読む

45:第13章 利子率の一般理論 流動性選好炸裂! 古典派と常識を撃破 

2021年04月05日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次  ケインズの利子率の一般理論の特徴は貨幣保持者の行動要因に流動性選好という概念を導入するところにある。貨幣は保有しているだけで値打ちがある。この誰でも知っていることを新古典派・現代正統派は認めようとしない。この流動性選好という概念を前にすると、資金の需給は利子率で均衡するという彼らの議論は怪しくなる。流動性選好炸裂!古典派と常識を撃破古典派と常識と書いたが両者は、 . . . 本文を読む

46:第13章に関する筆者の補論 流動性を誰が抱え込むのか 

2021年04月02日 | 一般理論を読む
一般理論を読む  目次第13章 利子率の一般理論 以下補論となるが、ここまでで分かった人、お前の補論なんか要らんわいという人は読み飛ばしてもらって結構である。感覚的理解のためであるから論理の厳密性はない。資金の需要側と供給側 ここに資本家と企業家という二つの集団を考える。理解の簡便のために個人として扱う。資本家は資金を供給し、企業家は資金を需要する。企業家の資金需要条件は資本の限界効率と利子率の兼 . . . 本文を読む