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G7諸国の名目GDP および名目GDPに占める一般政府の財政支出の割合をグラフ化してみた。
まずは既出の名目GDP。1997年の自国通貨建の名目GDPを100として比較した。
グラフのようにG7諸国は三つのグループに分かれる。
- アメリカ・カナダ・イギリスのドル・ポンド圏(アングロサクソン資本主義と呼ばれたりもする)
- フランス・ドイツ・イタリアのユーロ圏
- 日本
この表からも「ドイツの独り勝ち」などと言うものがないことはお判りいただけよう。もしそうなったら、将来あり得ることは否定しないが、ユーロ圏は崩壊するだろう。
このグループ分けからするとイギリスのEU離脱にはそれなりの根拠があったのかもしれない。イギリスにとって大西洋の反対側のほうが結びつきが強いのかもしれない。
次に一般政府財政支出の対GDP比だ。
コロナ禍による攪乱を除くために2019年までとした。
2008年当時日本の年平均完全失業率は4.0%、リーマン危機を経て2009年には年平均完全失業率は5.1%にまで跳ね上がった。日本の政策当事者(政府・与野党・ナショナルセンター・メディアまでを含めて)は失業率に無関心であるが、それにしても大量失業問題が発生した2009年にG7の中で最小の財政規模になるというのは異常ではないだろうか。その結果ずるずると財政規模を縮小も拡大もできずに不況が続いていった。やるべき時にやるべきことをしなかったツケを払い続けたのだ。
グラフ全体に戻ると、カナダを中間としてEUグループと日米英グループにきれいに分かれる。米英グループの中でも緊縮の道を続けるイギリスよりも日本の財政規模はさらに小さい。日本も米英グループをめざして金融ビッグバンが唱えられ、新自由主義の道を走ってきたが結果は出ていない。
いわゆる新自由主義という曖昧模糊とした概念は、財政支出がGDPに占める割合で考えると、40%という線引きができるのではないか。
選挙を見ていると、アメリカ大統領選でさえジョブが争点となる。任期中に○○万人の雇用を生み出した。いやいや我々はもっと多くの雇用を創り出すであろう、と。
- 財政規模はもう十分小さいのにそれに気がついていない。
- 選挙で失業のことが(雇用のことが)争点にならない。
これが長期停滞を抜け出せない我々の社会の特徴なのかもしれない。
最後に全く余計なことだが・・・
前回二つのリンク先を紹介した。
この際言っておく。こんな与太書く暇があったらしっかり勉強しなさい。
次回は、G7諸国の「プライマリーバランス」について分析する。