松ちゃんの『やりっ放し やられっ放し』

あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる(松任谷由実『緑の町に舞い降りて』より)

やさしすぎるということの結末

2007-02-07 06:05:52 | dramas
優一は電話に出た。

優一「はい、もしもし」
相手「あ、もしもし~」

優一「もしもし…」
相手「もしもし…」
優一「も」

相手「し?」
優一「も?」
相手「し~」
優一「ちっ…」

優一は電話を切った。
しかし、再び電話が鳴る。
鳴るに鳴る。
鳴っていない余地は、ない。
電話に出ない優一。

鳴り止まない着信。
電話に出ない優一…かれこれ1時間経つが、電話鳴り止まず。
電話を遠くに投げてしまおうと、大きく振りかぶった!…が、結局は振りかぶることしか出来ない。
振りかぶった手を下ろし、握った(未だ鳴り続けている)携帯を、見つめる。
なぜ、そうしないのか。なぜ、それを放らないのか。放れば楽になるのに…でも、彼は放らない。
冷やかしと分かってても、電話を投げきれない、その、優一の優しさなのである。

「優一」という名は彼等の両親が(優しい子に育って欲しい!)という願いを込めて名付けたのである。
ご覧の皆様には観ていただきたい、これからの優一の所業の全てを!
そして、目にした優一の優しさを
皆様の今後の人生における何らかに役立てて頂ければ、それは至上の喜びである。
話は続く。彼は…彼はきっと、電話に出る!しかも、99%!

優一「…」
相手「もしもし…」
優一「…もしもし」
相手「やさしいのね…」

優一「…」
相手「もしもし」
優一「…も、もし…もし」

相手「もしもし」
優一「も…もしも…し…」

相手「そんなあなたにFALLIN’LOVEよ」

優一「…」
相手「(今、完全に私が優勢だわ。やり込むなら今よ!) もしもし」

優一「もしも…」
相手「もしもし」
優一「…もしも明日が来ないなら」

相手「!」
優一「もしも願いが叶うなら!」
相手「やめて…」
優一「もしも、もしも…」

相手「もう…やめて…やめてよ!【もしもし】って言って!」
優一「もしも空を飛べたなら!」
相手「やめて!やめてぇぇぇぇ!!!!」

優一「鳥のように!!」
相手「…わ、わたし…もう、だめ…」

確かに彼・優一は最後の最後に相手を、女を傷つけてしまった。でも、彼の気持ちも分かってあげたい。