数回前に載せた記事に、NFLとNBAのドラフト全体1位をまとめた表がありました。作ったときは気が付かなかったのですが、この表に書いた情報に関連して2005年にちょっとした事件が起こっていましたね。
ご存知の方も多いと思いますが、この年はユタ大学からNFLとNBAの両方のドラフトで全体1位指名が出たのです。NFLではAlex SmithでNBAではAndrew Bogutですね。
Wikipediaの受け売りですが、「No college has had players as the No. 1 pick by both leagues in the same year.」とUSA Todayのサイトにいまだに記事が残っているくらいですから、めったにないことなんです。その後もこの事象は発生していません。
2005年当時、いまほどNFLを熱心に見ていなかった筆者はこの逸話を、先日Los Angeles LakersにBogutが移籍したことをきっかけに知りました。ということで、今回はNFLのSmithとNBAのBogutという2005年ユタ大卒ドラフト全体1位のどっちが、今現在で幸せかを描いてみることにしました。
まずSmithについては、過去にこんな記事を書いています。2005年のドラフト同期のAaron Rodgesとの比較記事です。
今期のRodgersとSmithを比較すると、シーズン前は2016年シーズンの後半に鬼人のごとく活躍したRodgersの評価が再燃していました。2015年シーズンに成績を落とし、2016年シーズン前半も今一つだったRodgersでしたが、後半に盛り返し、パスによるタッチダウンはキャリア2度目の40の大台をクリアしたのはご存知の通りです。
RodgersはFantasyでも人気が高く、QBとしては最上位の全体19位の人気を得ていました。2016年シーズン全体で稼いだ380.02ポイントが効いていますね。それほど高くない評価を受けるSmithも、比較相手がRodgersでなければ、立派な成績を残していると言えるでしょう。
ただSmithは、2015年に比べて成績を落としています。以前触れたLindys Sportsのドラフト展望ではTIER5という低い評価でした。全体145位でFantasyでの人気度合いでは、QBとしてはEli ManningやCarson Wentzよりも下の評価です。このあたりどうかとも思いますが、じゃあなぜ筆者が獲らなかったかというと、爆発力がない印象が強いからですね。うちのリーグでもドラフト当日は指名されませんでした。
ご存知の通りSmithは2017年シーズンの開幕戦ではNE相手に31.02ポイントを稼ぎましたが、これはKareem HuntとTyreek Hillの爆発によるものというイメージでしたし、実際Week02はポイントが半減しました。ただ、この生きのいいRBとWR、さらにTEのTravis Kelceの存在を考えると、今シーズンは成績を伸ばしてくるかもしれません。
KCは開幕戦のNEとの勝利で、AFC西地区の優勝候補であることを示しました。昨シーズン惜しいところまで行ったOAKだけでなく、 Trevor Siemianが連続22ポイントを挙げ成長をうかがわせるDENもライバルとなりそうです。Rodgersが持っていてSmithにはない、Champion Ringに到達できるでしょうか。
NBAのBogutに話を移しましょう。この選手は2002年のYao Ming(姚明)に次ぐ、米国出身ではないドラフト全体1位指名選手としても名をはせました(クロアチア系オーストラリア人)。Milwaukee Bucksに入団後、Golden State Warriorsに移籍し、2014-2015年シーズンに念願のChampion Ringを獲得しています。
2015-2016年シーズンは70試合に出場しチームのシーズン最高勝率に貢献、チームのNBA Final連覇も確実視されていました。しかし、Bogut自身が第5戦に怪我を負い、残り2試合を欠場したことで一気に暗転します。
この後Warriorsは、3勝1敗からNBA Finalで敗れた初のチームになったわけですが、その戦犯の一人にBogutが数えられたのです。そしてBogutは翌シーズンに加入したKevin Durantのサラリーキャップを開けるという理由で、Dallas Mavericksにトレードされました。
さらに悪いことは続き、2016-17年シーズン途中でMavericksからPhiladelphia 76ersにトレードされ、76ersからもカット。そして流れ着いた前年のFinalの相手であるCleveland Cavaliersでのデビュー戦で、なんと脚を骨折してシーズン終了となります。この話は以前、このブログでも書きましたね。
結局、Cavaliersでは1分だけ出場した記録を残し、Bogutはこれまた解雇。2017-18年シーズンを前にした9月19日に、Lakersと最低保証の 230万ドルで契約したのです。どうですこの転落の人生。
とはいえ、Lakersは期待のドラフト全体2位指名選手Lonzo Ballを擁し、BogutがWarriors在籍当時にコーチだったLuke Waltonが現在のヘッドコーチを務めます。Brook Lopezの控えセンターという役割ですが、これから伸びるチームですから悪い選択ではありません。
ではSmithと同様、同期の選手と比べてみましょう。Bogutが指名された2005年のNBAドラフトの出世頭は間違いなくChris Paulですが、Point GuardのPaulとCenterのBogutは比較するのは強引ですね。ということで当時のドラフト履歴を見ていましたら、ちょうどいい選手がいましたよ。Channing Fryeです。
Fryeは2005年のNBAドラフトでは全体8位でNew York Knicksに指名され、Portland Trail BlazersからPhoenix SunsOrlando Magicを経て、現在はCavaliersの選手です。Blazers時代には、このブログでもおなじみのGreg Odenともチームメイトでしたね。そして、Bogutが戦犯となって敗れた2015-16年シーズンのシーズン途中からCavaliersにいるため、Champion Ringもゲットしています。
先発の出場の割合が高いBogutと、キャリアの半分強しか先発がない(つまりチーム内での存在感が大きく異なる)Fryeを比較するのはBogutに失礼かもしれません。しかしBogutにはそれを上回る「怪我がち体質」という問題があり、2005-06年シーズン以降の出場試合数は671(うち先発は651)しかありません。Fryeの出場数は801(うち先発は438)、出世頭のPaulが834(全試合先発)試合の出場だけに見劣りがしますね。
Dunk Shoot誌が毎年出している「NBA全30チーム完全ガイド&選手名鑑 2016-17年シーズン版」によると、Bogut は「ペイントゾーンでのディフェンスは極めて優秀。怪我の多さが泣き所」とはっきり書かれていますね。「悲願の優勝の一助となった」という評価のFryeとはイメージが違います。10月に発刊される2017-18年シーズン版にはどう描かれているでしょう?
Bogut部分が長くなってしまいましたが、ここまで長々と書いたようにSmithは今季優勝を狙えるチームでそこそこの評価の先発QB、Bogutは再建を図るチームの控えCenterです。両者の甲乙を付けるのは読者の皆様にお任せしますが、もうベテランの域に入った二人には、もう一花咲かせるチャンスがまだ残っていることも事実。その後年の全体1位の(そして全体1位ではないその他大勢の)選手には、もう現役を退いている選手がたくさんいるわけですから。
2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。
AFC東 | BUF | バッファロー・ビルズ | NFC東 | DAL | ダラス・カウボーイズ |
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MIA | マイアミ・ドルフィンズ | NYG | ニューヨーク・ジャイアンツ | ||
NE | ニューイングランド・ペイトリオッツ | PHI | フィラデルフィア・イーグルス | ||
NYJ | ニューヨーク・ジェッツ | WAS | ワシントン・レッドスキンズ | ||
AFC北 | BAL | ボルティモア・レイブンズ | NFC北 | CHI | シカゴ・ベアーズ |
CIN | シンシナティ・ベンガルズ | DET | デトロイト・ライオンズ | ||
CLE | クリーブランド・ブラウンズ | GB | グリーンベイ・パッカーズ | ||
PIT | ピッツバーグ・スティーラーズ | MIN | ミネソタ・バイキングス | ||
AFC南 | HOU | ヒューストン・テキサンズ | NFC南 | ATL | アトランタ・ファルコンズ |
IND | インディアナポリス・コルツ | CAR | カロライナ・パンサーズ | ||
JAX | ジャクソンビル・ジャガーズ | NO | ニューオリンズ・セインツ | ||
TEN | テネシー・タイタンズ | TB | タンパベイ・バッカニアーズ | ||
AFC西 | DEN | デンバー・ブロンコス | NFC西 | ARI | アリゾナ・カーディナルス |
KC | カンザスシティ・チーフス | LAR(旧STL) | ロサンゼルス・ラムズ | ||
OAK | オークランド・レイダース | SF | サンフランシスコ・49ers | ||
LAC(旧SD) | ロサンゼルス・チャージャース | SEA | シアトル・シーホークス |