2019年シーズンWeek07のOAK@GBで、Aaron Rodgersがクォーターバックのパッサーレーティングで自身初の満点を記録しました。あれ、Rodgersは初めてだったっけ?と思う方が多いかもしれません。
今シーズンはなぜかQBレーティング満点を記録したQBが多く、Rodgersは4人目でした。しかしGBファンの筆者であり、この日は早起きして試合を全部見たこともあり(21日はお休みをいただいていたのです)、ちゃんとデータを整理しておきたいと考えて筆を執りました。
なおこの記事は、ちょうど一年前の2018年シーズンWeek04の直後に書いた記事の続きです。今回も、WikipediaのList of NFL quarterbacks who have posted a perfect passer ratingを引用しています。
ちなみにMLBでのノーヒットノーランの記録もWikipediaにありますが、こちらは1876年から記録があって、今年の9月1日のJustin Verlanderの達成まで303試合が記録されています(複数のピッチャーで達成した場合もカウントしています)。NFLのperfect passer ratingの記録がある1948年以降で比較すると183例があります。
つまりNFLのQBレーティング満点達成の出現回数は、MLBのノーヒットノーラン達成よりも低いことをご理解ください(試合数が違いすぎるので、全試合数から換算した出現頻度ではどっちが上かよくわかりません)。
なおRodgersの達成は76回目だそうです。1948年からの71年で76回ですから、年に1回あるかないかくらいの計算です。今年は何かあったんでしょうかね。2019年シーズンの満点記録者は、Week01のLamar JacksonとDak Prescott、Week04のDeshaun Watsonでした。
ではRodgersの数字を検証します。例によって下の青字は過去の記事の再掲ですので、ご存知の方はすっ飛ばしてください。
算出のための公式について。必要になるのは、「パス成功率」「パス平均獲得ヤード」「TDパス成功率」「INT率」です。全てパス試投回数が分母であることをご確認ください(後の説明に出てきます)。INTは0でないと満点は獲れません。
パス成功率 = パス成功回数 / パス試投回数 × 100
パス平均獲得ヤード = パス獲得ヤード / パス試投回数
TDパス成功率 = TD回数 / パス試投回数 × 100
INT率 = INT回数 / パス試投回数 × 100
そのあと、ここで出たそれぞれの数字に係数をかけて、同じレベルにそろうよう換算します。実はこの換算式にはちゃんと根拠があって、1960~70年代のリーグの数字を基にそれぞれの数値の平均値が「1」になるよう調整した結果なのだそうです。
(a)………(パス成功率 - 30)× 0.05
(b)………(パス平均獲得ヤード - 3)× 0.25
(c)……… TDパス成功率 × 0.2
(d)……… 2.375 - (INT率 × 0.25)
そしてそれぞれの換算後の値がどれだけ大きくても、「2.375」を超えたら2.375に置き換えて計算します。その逆もありで、小さい場合は、最小値を0にします。マイナスはありません。
そうしてはじき出すのが以下の数字。
パッサーレーティング=((a)+(b)+(c)+(d))/ 6 × 100
さて、Rodgersの成績はというと、
パス試投が31回で、成功が25回。パス獲得ヤードが429でTDパスは5回。そしてINTは0でした。でした。ここから、QBRの算出のために必要な数字をそれぞれ算出すると
パス成功率は80.65%(25 / 31)
パス平均獲得ヤードは13.84ヤード(429 / 31)
TDパス成功率は16.13%(5 / 31)
INT率は0.0%
となりますね。この数字を上の計算式に代入します。
(a)………(パス成功率 - 30)× 0.05=(80.65 - 30)× 0.05=2.5325 > 2.375
(b)………(パス平均獲得ヤード - 3)× 0.25=(13.84 - 3)× 0.25=2.71 > 2.375
(c)……… TDパス成功率 × 0.2=16.13 × 0.2=3.226 > 2.375
(d)……… 2.375 -(INT率 × 0.25)=2.375 -(0.0 × 0.25)=2.375
全ての数字が2.375を上回っているか等しいので2.375 × 4 / 6 × 100 = 158.3になりました。
ちなみに、計算式を逆算すると分かるのは、それぞれの項目で満点をクリアするための条件です。
パス成功率は77.5%
パス平均獲得ヤードは12.5
TDパス成功率は11.875%
INT率は0.0%
を超えないと、パッサーレーティングは満点に届きません。
もしパス試投数を40とするなら、パス成功数は31回(ちょうど31 / 40が77.5%)。パス獲得ヤード数は500ヤードを超えないと平均獲得ヤードは12.5(500 / 40)となりません。TDパス成功数は4では10%にしかなりませんから、11.875%を超えるには5回成功しないと(5 / 40)いけません。もちろんINTは0回が条件です。
Rodgersの成績に戻ると、パス試投数は31でしたから、パス成功率が77.5%を超えるには24回の成功が必要(24 / 31=77.42%、23 / 31=74.19%では不可)で、獲得ヤード数は388ヤード(388 / 31=12.51ヤード、387 / 31=12.48ヤードではダメ)、TDパス成功数は4回(4 / 31=12.9%、3 / 31=9.68%では届かない)が必要でした。つまり、パス成功回数の25回のところが、一番ギリギリだったわけです(2回失敗していたら、満点になりませんでした)。
せっかくなので、今年パッサーレーティング満点を獲った4人の記録を比較してみましょう。
Week | Day | QB | 相手 | パス 成功数 | パス 試投数 | パス獲得 ヤード | TD数 | パス 成功率 | パス平均 獲得ヤード | TDパス 成功率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
01 | 2019/9/8 | Lamar Jackson | BAL@MIA | 17 | 20 | 324 | 5 | 85% | 16.2 | 25% |
01 | 2019/9/8 | Dak Prescott | NYG@DAL | 25 | 32 | 405 | 4 | 78.13% | 12.66 | 12.5% |
05 | 2019/10/6 | Deshaun Watson | ARL@HOU | 28 | 33 | 426 | 5 | 84.85% | 12.91 | 15.15% |
07 | 2019/10/20 | Aaron Rodgers | OAK@GB | 25 | 31 | 429 | 5 | 80.65% | 13.84 | 16.13% |
こうしてみるとヤード数はRodgersが最多ですが、効率がいいのはJacksonでしょうか。20回のパスで5回TDですから、4回に1回がTDパスでした。
一番ぎりぎりだったのはPrescottでしたね。それからJacksonは遠征先での満点達成。ほかの3人は、有利なホームグラウンドでの達成でした。
2015年シーズンからアメリカンフットボールのFANTASY FOOTBALL を楽しんでいるトーマスといいます。NFLだけでなく、MLBやNBAについても語ります。
AFC東 | BUF | バッファロー・ビルズ | NFC東 | DAL | ダラス・カウボーイズ |
---|---|---|---|---|---|
MIA | マイアミ・ドルフィンズ | NYG | ニューヨーク・ジャイアンツ | ||
NE | ニューイングランド・ペイトリオッツ | PHI | フィラデルフィア・イーグルス | ||
NYJ | ニューヨーク・ジェッツ | WAS | ワシントン・レッドスキンズ | ||
AFC北 | BAL | ボルティモア・レイブンズ | NFC北 | CHI | シカゴ・ベアーズ |
CIN | シンシナティ・ベンガルズ | DET | デトロイト・ライオンズ | ||
CLE | クリーブランド・ブラウンズ | GB | グリーンベイ・パッカーズ | ||
PIT | ピッツバーグ・スティーラーズ | MIN | ミネソタ・バイキングス | ||
AFC南 | HOU | ヒューストン・テキサンズ | NFC南 | ATL | アトランタ・ファルコンズ |
IND | インディアナポリス・コルツ | CAR | カロライナ・パンサーズ | ||
JAX | ジャクソンビル・ジャガーズ | NO | ニューオリンズ・セインツ | ||
TEN | テネシー・タイタンズ | TB | タンパベイ・バッカニアーズ | ||
AFC西 | DEN | デンバー・ブロンコス | NFC西 | ARI | アリゾナ・カーディナルス |
KC | カンザスシティ・チーフス | LAR | ロサンゼルス・ラムズ | ||
OAK | オークランド・レイダース | SF | サンフランシスコ・49ers | ||
LAC | ロサンゼルス・チャージャース | SEA | シアトル・シーホークス |
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