朝鮮中央通信は、十二月十九日、金正日総書記(写真は、05年10月10日、平壌<AFP=時事>に黒枠を付し、12月20日付『釧路新聞』第5面から転写)が十七日に現地指導に向かう列車内で重症の急性心筋梗塞に見舞われ、心原性ショックを併発し死亡したと発表した。
金王朝三代目は既に三男の正恩が後継者として事実上内定していたが、朝鮮労働党中央委員会や国防委員会は、十九日に発表した金正日総書記死去の訃告で、金正恩について、「総書記だけに使っていた『領導者(指導者)』との呼称を使用」(同日付『北海道新聞』第1面)することによって、正式に後継者として国内外に宣言したと言える。
しかし、正恩にはまだ党や軍の肩書きが不足しており、権力継承の途上にあるとみるべきで、当面は、国際社会は北朝鮮の体制が崩壊へと進むのか、あるいは安定に向かうのかを見定める必要がある。日韓米が状況判断に時間を費やしている間に、中国が、弱体領導者の正恩が陣頭に立つ北朝鮮への影響力の増大を図ろうとしていることは間違いない。中国共産党中央委員会が十九日、朝鮮労働党に弔電を送り、正恩を後継者とする新体制への支持を打ち出したことからは、頑迷に経済政策を変更しなかった金正日総書記の死をチャンスと捉え、中国の思うように北朝鮮を操ろうとする魂胆が透けて見える。中国の支援で、金日成・金正日親子二代が目標に掲げた「白米と肉のスープ」が達成されるかどうか、中国がそこまで考慮しているとは思えないが、ともあれ当面の体制の安定を求めていることは確かで、影響力浸透により、武力挑発を危惧する日韓米に対して北朝鮮カードを切ることも可能となる。
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