3月19日午後、参議院は、政府が再提示した日銀正副総裁人事案を民主党などの反対で否決した。
12日に武藤敏郎副総裁昇格案が否決され、今回の田波耕治・国際協力銀行総裁を充てる案も否決、日銀総裁が空席となる異常事態を招いた原因は二つ。 民主党を中心とした野党が、財務省の次官経験者という理由で武藤副総裁昇格案を認めなかったことと、政府が再び、元大蔵省(現財務省)の次官出身の田波氏を候補にしたことである。
財務と金融を明確に区別するという、小沢・民主党党首の主張は正論だろうが、言葉どおりには受け取れない。国際的金融危機に目を向けず、ひたすら自民党政権を潰そうと、日銀総裁人事を意図的に政争の具にすることは、責任ある野党党首の行為とは思われない。
政府も政府である。福田首相には、米国が直面する金融危機が世界に連鎖する非常事態にあることへの認識が欠けているのではないか。小沢のような鵺を相手にぬらりくらりと手を拱いている時ではなかろう。
英国『エコノミスト』誌・前編集長のビル・エモット氏は、「日銀総裁に誰がふさわしいかは、学者出身のイングランド銀行(英中銀)のマービン・キング総裁、米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長の例がよいモデルになるだろう。ともに政治的に独立した金融政策の専門家で、信頼感がある」(3月20日付『讀賣新聞』第9面〈経済〉)と述べている。
福田首相も小沢党首も真摯に耳を傾けるべきではないか。ともあれ、戦後初の<総裁代行>に就任した白川方明副総裁の手腕に頼るしかない。
<日銀本店の写真は、フリー百科事典『ウィキペディア』から転載、福田首相と小 沢党首の写真は、3月19日付『讀賣新聞』第3面〈総合〉から転写>
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