誕生以来45億年、地球環境は、間断なく大変動を続けてきたに違いない。地殻の変動に伴う地形変化も、地質年代の視野から見ると、発生して当然といえる。
70億人近くにまで増殖し続けるホモ・サピエンスは、大自然に対比すると、単純に「明日も今日と同じ生活が続く」という、根拠のない予定調和を無意識に期待して生きている、矮小な存在に過ぎない。
ホモ・サピエンスが居住し、人工の構築物を造る、この地球上で、天変地異が何も起こらないと信じるのがそもそも間違っているのである。
地球環境の変動はいつ生じてもおかしくないと考え、いったん天変地異が起きた場合にどうなるかを考慮して、予め対策を講じるのが万物の霊長たるホモ・サピエンスの英知のはずだが、現実にそのような英知を有しているとは思われない。 中華人民民共和国政府は、四川省大地震(写真左)による社会不安増大を懸念し、民心を落ち着かせるために、チベット族暴動の地である被災地をすかさず訪れ涙を流して遺族を励ます温家宝首相の映像を、テレビで繰り返し流した(5月15日付『讀賣新聞』第6面〈国際〉)という。
しかし、この大地震災害に対して政府が第一に取るべき方策は、首相が被災者の手を握って涙を流したり、民心を安定させるために政府が情報統制をしたりすることではない。国家の指導者が、救済と復旧のために機敏な指揮を取る確固たる姿をこそ示すべきだろう。
岩手・宮城内陸地震による大規模地滑り災害(写真右)に対しては、政府の危機管理機能が有効に働くことを期待したい。今になって、専門家なる人たちが、「あの地帯は断層がどうの、地層構造がどうの‥‥」(6月16日付『讀賣新聞』第2面〈総合〉、写真を転写)」と賢しら発言をしているが、屁の突っ張りにもならない。
民主党の小沢代表の被災地視察目的が、「党首として災害復旧の第一線に立つ立場をアピールするため」(同新聞、第1面)とは、温家宝首相の被災地視察と根は同じではないか。災害を政治的に利用するなどもってのほかである。
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