<道東自動車道>が、部分的な飛び地開通ゆえやむを得ないとはいえ、全国の高速道路のうち、営業係数ワースト・ワンであることは周知の事実である。本来、黒松内町を起点に、千歳恵庭ジャンクション、本別ジャンクションを経て、網走市と根室市に至る、国土開発幹線自動車道路として計画された道東自動車道のメリットは、半年も雪に埋もれる最大の難所、従来の国道による日高山脈の峠越えの解消であろう。この峠越えに、国道の利用者はどれほど苦労していることか!
夕張・清水間の工事を後回しにして、十勝の平野部にわずか数10キロメートルの高速道路を建設して、多くの利用が見込めるとは思えない。営業係数ワースト・ワンは、道東の交通状況全体を鳥瞰する能力のない者が計画を立てた当然の帰結である。
整備計画区間の本別・釧路間と足寄・北見間は、国と沿線自治体が建設費を負担する<新直轄方式>なるものに指定され、完成の暁には無料区間となるのだという。北海道では、どの地方自治体も財政難に喘ぎ、北海道でさえ、赤字再建団体へ転落の瀬戸際にあるというのに、いったいどこから建設費を捻出するのか、にわかには信じがたいことである。なにか、うさんくさくないか。北海道開発予算は当てにできるか?
この2枚の写真をよく見て頂きたい。<黒松内釧路線>建設のために、中庶路の山間部で、いま、樹木を皆伐し、山肌をを削り、谷を埋め、コンクリートの橋梁造りが行われているのである。これが自然破壊でなくて何なのか。
しかも、肝心の夕張・清水間の山岳地帯の工事の完成前に、釧路が帯広と高速道路でつながったとしても、営業係数ワースト・ワンが解消できるほど利用率が上がるとは考えられない。大きな難所もない釧路・帯広間は、一般国道の自動車専用道路整備拡充で十分である。白糠・阿寒の山林資源と自然地形を荒らしたつけは、やがて地方自治体に重くのしかかるだろう。
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