独仏伊など十一か国が、平成十一年一月、欧州単一通貨ユーロを銀行間取引に導入(導入を祝う写真は、12月29日付『讀賣新聞』第6面〈経済〉から転写)して以来、この一月一日で十年が経過した。
一月一日にスロバキアが新たに加わり、ユーロ圏は十六カ国に拡大した。ユーロ圏の人口は三億二千万人で、圏内GDPは米国に次いで世界第二位、欧州連合二十七か国全体では米国を上回る。
この満十年のユーロの評価について、『北海道新聞』(12月30日付、第5面〈国際〉)と『讀賣新聞』(12月29日付、第6面〈経済〉)が、全く対照的な記事を掲載している。
ユーロは、昭和四十五年十月の「ウェルナー報告」以来、三十八年余の歳月を経て、EMS発足・マーストリヒト条約調印・EU正式発足・ユーロ単一通貨に決定・ECB発足と、関係国が実体を固める努力を着実に積み重ね、ドルに次ぐ主要国際通貨としての歩を進めてきたが、米国発世界的金融危機に伴う通貨下落は、未加入国の個別通貨よりはましだが、ユーロの場合とて例外ではない。
≪北海道新聞≫
○ ユーロ10年 通貨圏拡大 ○ 金融危機よそに活気
○ 投資順調、購買意欲も刺激 ○ 北欧英国 高まる参加気運
≪讀賣新聞≫
○ ユーロ「10歳の試練」 ○ 金融危機 もろさ露呈
短期的には、スロバキアが「金融危機よそに活気」ということはあるだろうが、ユーロ経済圏の拡大がかえって財政政策の統一を損ね、これまでの過大評価の反動で、十年前と同程度まで評価が下落しているのが実態ではないか。『北海道新聞』の記事には、ユーロ経済圏の全体的課題への視点が欠けていると思うのだが・・・
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