徳川慶喜log~徳川と宮家と私~

徳川慶喜家に生まれた母久美子の生涯、そして私の人生。

私・井手純〜大学から帝国ホテル時代②〜

2019-05-25 05:00:00 | 日記
帝国ホテル入社後、レストラン部に配属になった。
ホテル内には直営レストランが幾つもあった。
まず客室に料理を運ぶルームサービス部に配属となった。

部屋の中まで運ぶこともままあり、結構有名人と出くわす事もあった。
一番の思い出は、夜中1時頃スイートルームからの注文を運んだ時のこと。

部屋に入ると外人が数人で葉巻を吸いながらトランプをしていた。
中のひとりが伝票にサインをしてくれ簡単な英語でトランプを買って来てくれないかと言われた。
「こんな時間に無理」と思いながら奥の大柄な男性と目があった。
なんと当時米国映画界のトップスターの”ジョン・ウェイン”だった。

そして私に向かってウインクをしたのだ。
思わず「イエッサー」と言っていた。
10ドル受け取って部屋を出てホテルの外へ出た。
までは良かったけど、どこで売っているのかわからず焦った。
今のようにコンビニがあるわけでもなく、「でも何とかしなければ」と思い、新橋駅の傍にあった大人のおもちゃの店を思い出し、まっしぐらにそこへ行った。

制服のまま店に入りトランプを見せてもらうと当然すべてヌードトランプだった。
しかし、迷う事無く日本人の物を買い飛んで帰った。

部屋に行き渡すと皆大爆笑でジョン・ウェインに「グッドボーイ」と言われ20ドルのチップを貰った。
いま思うとその20ドル札に彼のサインもらえば良かったなと後悔している。

徳川おてんば姫(東京キララ社)