娘の錬金術

娘が1000円の手付金を支払いベッドを取り置きしてから、あっという間に1週間が過ぎた。この1週間の娘の錬金術はあっぱれだった。月曜日の夜、「パパ、オセロやろう！」と娘。「いいよ」と夫。「もし私が勝ったら1万円ちょうだい」と娘。「子どもに1万円は高すぎるよ～」と私。「俺に勝てるわけないじゃないか」と夫が笑う。そうして1万円をめぐり、オセロゲームが始まった。夫は強い。あれよあれよという間にオセロ盤が黒に染まっていった。

「パパ、さすが強いね」。
娘は面白くなさそうな顔をしながらも淡々とオセロを続ける。
「あ」と、夫。
調子よく取りすぎて、自分のコマを置くところがなくなってしまった。
「パパ、負け」と娘。そうして1万円をあっという間に回収してしまった。

翌朝、「ママ、まだベッド断らないでよ」と念を押して登校。帰ってきてからは「お金は欲しいけど働くのは面倒だし」とブツブツ言っている。
そんな娘の発言に、「何言ってるの！働かなきゃお金は作れないでしょ。楽してお金を儲けようなんて考えるんじゃないよ！でも、続けられないと最後まで支払えないから、自分が楽しんで続けられる仕事を考えなさい。」などとママのお説教。その日、いいアイディアは生まれなかったらしく、何も言わずに寝てしまった。

木曜日。
「自分で支払うからベッドを購入して欲しい」と娘。その迫力に負けて購入を決定する。そうして夕飯の時間になった。夫と私で晩酌を始めた。娘がよく作るチーズをカリカリに焼いたおつまみがとてもおいしいので、「カリカリチーズ作って！」と娘にお願いする。すると、メニューが出てきた。（画像参照）「チーズせんべい　200円」。なんと、おつまみを作って売ることを考えたらしい。「ビールセット　220円」というのもある。いつこんなものを作ったのだ！

「材料費をかけずに儲けようとは、しっかりしてるねー」と夫。
そうしてまんまと娘のペースに巻き込まれ、一晩で両親合わせて1200円も支払ってしまった。
「この調子でいったら、結構早く払えるねー」
娘の商売はつづく・・・。