群馬へ本を返しに

「ママ、本返さなきゃ」と娘。「？？？」。何と我が娘、転校をするというその日に学校の図書室で本を借りてきた。引越しのためにありとあらゆるモノを捨てた私、「なんで、学校の本、持ってんの～！」とその持ち物に驚いたさ。「だって、日曜日に返そうと思っていたんだもん！」へっちゃらのへーで答える娘。もうすでに転校から2週間。おいおいー。親の顔、見せてみな。

ということで、開校記念日でさいたまの学校が休みの今日、その娘の親は責任を感じ、田舎暮らしを楽しんだ群馬県子持村（市町村合併により現在渋川市）の中郷小学校へ本を返しに行く。娘、大喜び。5時半には起きて支度をし、7時には出発。途中、朝ごはんを食べたりしながら関越自動車道をひた走り、渋川伊香保インターへ。10時、渋川着。

「ママは休みじゃないの。銀行行ったり、支払いしたり仕事するよ！」
私は、仕事。「本を返す」という娘の目的に付き添いながら100万円近いお金をあれこれ動かさねばならない。100円ショップの駐車場に車を停めて。図書室の本と、100円ショップと100万円。最高にこのアンバランスが楽しい。で、空は、美しい空色。空の色って、こんなにきれいなの～。娘と私、感動する。いいところだよ、何度きても、住んでも。山に抱かれた群馬の田舎は。

支払いの処理をおおかた終えた私、娘とお墓参りへ。草むしりをし、花を供え、お線香をたいてご先祖様とお話し。私は、おばあちゃんのような経営者になるのだ！今まではあれこれ迷ってきたけれど、もう迷うことは何もない。自分の仕事を成功させるため、家族と自分の幸せのために信じた道をまっしぐらに進むだけ。「私のがんばりを見ていてください！ばあちゃんが早くに亡くなって、出来なかった夢、私が叶えます！」と、尊敬するおばあちゃんに、誓う。

学校へ。
感動した！「来たよ！」って、誰が言ったのよ～。驚いた。だって、娘がいた5年生のお友達じゃないんだもん。学校の玄関を入ると「待ってたよ～」といった空気に、娘も私も包まれちゃった。すぐに娘の大親友はじめクラスのお友達が来て、先生まで来てくださって。「どうですか？」と話しが始まる。娘は、勝手知ったる学校のこと、さっさと本を返しに行ってしまう。

私は、子どもたちに囲まれて、担任の先生とお話し。
この2週間、娘は本当によくがんばってくれた。去年とは違って少し大人になった娘。転校2日目、「群馬に帰りたい」とシクシク泣いた。大好きなお友達に会えない切ない気持ち、それを小さな胸で精一杯に受け止めているそんな涙だった。「大丈夫」とか「元気だそう」とか、そんな励ましは無意味で、ただ、抱きしめて泣かせてあげた。翌朝、一生懸命に新しい環境に慣れようとがんばる娘がいた。

そうして2週間。
この間の土曜日はさいたまの学校の運動会。組体操では、出来なかった倒立を見事に決め、自由参加の一輪者パレードでは、キンキラキンのポンポンをもって、見事に一輪車を乗りこなした。学校から帰ると、友達と遊びに出かけるなど、さいたまでの生活を楽しくしようとがんばっている感じ。それでも、先週も「また、群馬に転校させて！」などと言う。群馬の友達はみんなすごくのびのび生き生きしていて居心地がいいのだそうだ。これから、これから！あなたが埼玉と群馬の架け橋になりなさい！

お昼休みに本を返しに行った娘が5時間目が始まってもなかなか帰ってこない。すると、しばらくしてクラス全員のお友達と先生で娘を送りに来てくれた。やだ、貴重な授業時間なのにー。母、ちょっとドキドキ。でも、みんなとても素晴らしい子どもたち。こんなに元気でたくましい子どもがたくさんいるんだもん、これからの日本はまだまだ大丈夫！

本当に感動して、埼玉に戻ったのです。
先生、5年2組のみなさん、本当にありがとう！今度はみんなで埼玉に遊びに来てください！おばさんはしっかり案内しますよ～。

【今日の名言】
『人間は金銭を相手に暮らすのではない。人間の相手はつねに人間だ。』
　プーシキン

【写真】玄関にて。
みなさん、お見送り、本当にありがとう。おばさんは感動しました。大胆で愛情あふれる素晴らしい、子どもたちです。

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