永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
業者贔屓の発言も大目に見てください。

談合は、必要悪-悪=必要だ (その5)

2012-09-02 | 談合
指名入札では、発注者が業者の生殺与奪権を持っている。 先生の力を借りても、最終的には役所次第である。 先生は落選するかもしれないが、発注者に倒産失業はない。 絶対つぶれない者が一番強い。 落選した先生と二人三脚だった業者の末路は、とくに哀れだった。 バイパス工事の(部分)開通記念事業で、ある業者が協賛金を払わなかった。 所長にすぐ呼び出されて『(延長)工事はしばらく休んでもらうからな』と言われた . . . 本文を読む
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談合は、必要悪-悪=必要だ (その4)

2012-09-01 | 談合
新参者には高くつくが、いったん仲間になれば、新しい競争相手を防ぐ防護壁になる。 それが指名入札だ。 既得権の多い古参業者にとっては、とくにおいしい。 もちろん、政治家と発注者(役人)にとっても、金づるの制度だった。 業者が役所に直接陳情しても、普通は相手にされない(ボス格は別)。 少しでもしつこく要望すれば、逆切れされる。  5年ほど前、長年やっていた工事の指名を外された。 競合する業者が某県 . . . 本文を読む
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談合は、必要悪-悪=必要だ (その3)

2012-08-31 | 談合
指名入札では、発注者に指名してもらえなければ、競争の土俵にすら立てない。 それが、国及び日本全国の自治体のほとんどすべてで、約1世紀近くも行われてきた(ただし、国は現在、ほとんどが一般入札になっている)。 建設業許可など、ほとんど無意味に近い。 理由など明示する必要はないから、なぜ指名をもらえないのか?黙っていては知ることもできない。 そこで、先生(政治家)方のお力を借りることになる。 国発注工 . . . 本文を読む
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談合は、必要悪-悪=必要だ (その2)

2012-08-30 | 談合
新聞紙上で、『密室談合政治』という批判がよくなされるが、情報公開という大原則からみると、談合の『悪』の部分でもっとも大きな問題も、その密室性、閉鎖性にある。  今までの談合(以下、旧談合)には二重の密室性があった。 ひとつは、建設業界外部に対するもの。 もうひとつは、建設業界内部のものである。 建設工事業を行うには、国土交通省(昔は建設省)の建設業許可をとらなければならないが、取得自体は非常に . . . 本文を読む
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談合は、必要悪-悪=必要だ (その1)

2012-08-29 | 談合
今日から談合ブレストのタイトルを、『談合は、必要悪-悪=必要だ』に変更します。 ただし、内容はそのまま継続です。 『談合は、必要悪だ』。 昔からよく言われるセリフである。 ただし、一般的には、談合全体をもって必要悪ととらえている。 しかし私は、『必要な部分』と『悪の部分』に分解した方がよいと思う。 そして、悪の部分を除去し、必要な部分だけを残して、談合を合法化する方途をみんなと考えたい。  予 . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その27)

2012-08-27 | 談合
さらに、金を返せず、焼身自殺未遂に終わった従業員もいる。 『次にやる時はレギュラーじゃなく、ハイオクをかぶって確実に死ね』。 事件の次の日、社員たちにこう訓示を垂れたそうである。 社長に嫌気がさし、直後に退社した知り合いの現場監督が言っていた。 以前、社長と親睦会で話した時、『ばれれば塀の向こうに落ちる危ない橋を渡って会社をデカクした。若い時は男芸者のサービスもした。身体をはってるのだから、おい . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その26)

2012-08-26 | 談合
瀬戸内海、水清くなり魚住まず?悲鳴上げる漁師(読売新聞) - goo ニュース 上述のニュースがあったので一言。 昔から言われるように、『清水、魚住まず』である。 きれいすぎる水に魚が棲まないように、きれいすぎる政治、経済では誰もついてこなくなる、という過度の潔癖主義を戒めた言葉だ。 何度も書いているが、公正な取引など現実には存在しない。 せいぜい、妥当な取引があるだけだ。 一度も民業をやったこ . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その25)

2012-08-25 | 談合
談合ブレスト、超久しぶりです。 (その22)から前回(その24)までは、予定落札価格(以下、予定価格)について書いてきたので、あと何回か続けて論じたい。 予定価格は役所が決定する標準的な価格で、これより一円でも高ければ落札できない上限だった。 15年以上前は、国も自治体も、どこの発注者でも非公表だったが、2000年前後から多くの自治体が公表(事前または事後)している。 国はずっと非公表(事前事後 . . . 本文を読む
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新刊著書の宣伝

2012-08-03 | 談合
今日は私の新刊書の広告です。 私のブログを読んでくださっている方には、内容が重なるので、実際のところ購読を進めにくいのですが、元就出版社を応援するつもりで買ってもらえればうれしいです。 最初、建設業専門の新聞社に原稿を送ったら、談合合法化に腰が引けてしまって、あまりにも一方的な出版条件を提示されました。 ところが、元就出版社の社長さんは、拙著の内容に賛同し、快諾してくれたおかげで出版の運びになっ . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その24)

2012-07-13 | 談合
予定落札価格(以下、予定価格)が、役所の上限価格だということは前々回説明した。 しかし、ここでよく間違う業界外部の人が多くいる。 無駄な経費も含んだすごい贅沢な価格だ、という勘違いである。 確かに、工事の種類によって非常に利益率の高いものがあったのも事実である(このことはおいおい書いていく)。 一部の工事だが、ぼろい儲けも期待できた。 しかし、談合が消滅した現在、そのようなものはない。 むしろ、赤 . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その23)

2012-07-12 | 談合
以前は公共事業の予算が余ると、新たな工事を発注しなければならなかったが、最近はちがうようだ。 予算の使い方が弾力化され、別の使途に流用できるようになっている。 『科目流用』という。 おそらく、『無駄な公共事業』と叩かれた頃、事業予算を減らす名目で変わったと考えられるが、問題はその流用先だ。  7、8年ほど前、弊社が所在する県管内(1市8町村)で談合が完全に壊れたことがある。 当時は失格価格という . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その22)

2012-07-11 | 談合
発注者が談合破りを嫌った大きな理由はふたつ。 自分たちの仕事が増え、さらに次年度の予算獲得で不利になるから。  だがその前に、『11の都道府県で、最低賃金が生活保護水準を下回る逆転現象が起きている』という昨夜のニュースを論じたい。 結論からいえば、談合を根絶したことが、大きな原因である。  1992年、埼玉土曜会と呼ばれた談合事件があった。 同じころ、宮城県では知事と仙台市長が逮捕されるゼネコ . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その21)

2012-07-10 | 談合
『 省益あって国益なし 』と言われる官僚組織だが、個人的に知っている多くの役人は、世間知らずではあるが基本的に真面目である。 実際、日本の公務員試験は真面目な人間でなければ合格できない。 自治体などではコネ入庁もあるようだが、そんなのは出世できない(ちなみに、友人の中国人から聞いたが、お隣の国ではコネで入ったやつが一番出世するそうだ)。 ところが、組織になると別の顔があらわれてくる。  5、6年 . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その20)

2012-07-09 | 談合
『 絆 』。 3・11以降、あちこちで目にする機会が多くなった。 だが、被害者同士でなければ、絆を結ぶのは無理だろう。 がれき処分を拒絶している市民運動家たちを見て特に強く思う。 戦友の絆は肉親を超えるといわれるのも、苦しみを共有している者同士だからだ。 人間は苦しみからしか学ばないが、真の友情、絆も苦しみからしか生まれない。 『 あいつは俺が泣いている時に一緒に泣いてくれた 』。 損得勘定を越え . . . 本文を読む
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談合(カルテル)ブレーンストーミング(その19)

2012-07-08 | 談合
人間を動かしているのは二つのカンジョウ。 一つは『損得勘定』、もうひとつは『好悪の感情』(もちろん、すべてではないが)。 高邁な理想や難しい理論など、人間を動かす動機としてはほとんど無力である。  10数年社長業をやって得た実感である。 優先順としては、この二つのどちらかが一位でもう一つが二位である。 理想・理論が動機の一位にあると考えている人は、よほどの世間知らずである。 理想・理論だけで実業 . . . 本文を読む
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