永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
業者贔屓の発言も大目に見てください。

談合(カルテル)ブレーンストーミング(その20)

2012-07-09 | 談合

『 絆 』。 3・11以降、あちこちで目にする機会が多くなった。 だが、被害者同士でなければ、絆を結ぶのは無理だろう。 がれき処分を拒絶している市民運動家たちを見て特に強く思う。 戦友の絆は肉親を超えるといわれるのも、苦しみを共有している者同士だからだ。 人間は苦しみからしか学ばないが、真の友情、絆も苦しみからしか生まれない。 『 あいつは俺が泣いている時に一緒に泣いてくれた 』。 損得勘定を越えて人を動かす感情は、この一言に集約されていると思う。

しかし、民業をまったく経験できない終身雇用の日本の公務員制度は、今、致命的な失敗を繰り返している。 消費増税はその最たるものだが、談合潰しも、東電、教育委員会、検察などの隠ぺい体質も同根である。二十歳前後に官庁に入り、定年退職まですべての役人を終身雇用する日本の制度では、民業を経験しているものは限りなくゼロに近い。 

もちろん、民業の大変さなどほとんど知らない(とくにキャリア、上級職)。 今でも社長は働かないで高給を貰っていると思っている人たちがいっぱいいる。 さらに、終身雇用の組織だから、組織内部の論理と人間関係が絶対である。 倒産もないからお客様の都合を考える必要もない。 自分たちの都合を優先したルールまで作れる。

官僚組織に代表される人材の流動性がほとんどない日本の上部組織は、同じ戦略的失敗を何度も繰り返す。 現場が主体の戦術的組織能力に関して日本は世界一流だが、参謀本部主体の戦略的組織能力は二流、とくに同じ失敗を繰り返す致命的欠点を持っている。 

終身雇用組織の中で、同じ人材がグルグル回るだけだから、発想がほとんど変わらない。 これに年功序列が加われば、先輩が引いた路線を外れるのは面子をつぶすことになる。 だから同じ失敗を何度も何度も繰り返す。 それでも親方日の丸だから潰れないし、キャリア制度が身分を保障してくれる。 さらに、民業の苦しみは全く知らなくても、公務員としての苦しみは共有しているからお互いに庇いあい、組織に都合の悪い情報は一致団結して隠ぺいする。 

言い古された言葉だが、『 省益あって国益なし 』。 上部組織の団結力の強さが、日本の最大の弱みなのである。

今日はここまでにします。 おやすみなさい。


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