永崎士道の建設業徒然なるままに、時々国防とグルメも

主に建設業の話題を書きたい。
私自身建設会社の社長だったので、
業者贔屓の発言も大目に見てください。

談合(カルテル)ブレーンストーミング(その19)

2012-07-08 | 談合

人間を動かしているのは二つのカンジョウ。 一つは『損得勘定』、もうひとつは『好悪の感情』(もちろん、すべてではないが)。 高邁な理想や難しい理論など、人間を動かす動機としてはほとんど無力である。 

10数年社長業をやって得た実感である。 優先順としては、この二つのどちらかが一位でもう一つが二位である。 理想・理論が動機の一位にあると考えている人は、よほどの世間知らずである。 理想・理論だけで実業をやっても、絶対に生き残れない。 なぜなら、人が付いてこないからだ。 

『 古今東西、高邁な経営哲学を実践して大成功した多くの実業者がいる 』という反論が聞こえてきそうだ。 しかし、これは認識を間違えている。 彼らに従った多くの協賛者たち(部下、取引先など)を動かしたのは、理想・理論ではない。 理想・理論を実践して見せた彼らの姿に感動して、つまり好(尊敬)の感情から多くの人々が従ったのである。 ただし、現実にはほとんどのリーダーたちは、私も含めて口先だけである(だからうだつが上がらない)。 残念ながら、有徳実践者の割合は、ごくごくわずかにすぎない。

さらに、歴史に名を残している聖人たちは、何よりもまず先に庶民の現実的苦しみを軽減してやった。 日本では鎌倉時代に活躍した行基、親鸞なども、病人を看病し、開墾や保存食の技術を教え、橋などのインフラ整備して人々の心をつかんだ。 高邁な教えやありがたい念仏などは、その後の話である。 キリストやモーセも、まず最初に民の苦しみを救い、プラスして高邁な理想を実践して見せ、さらに彼らと苦しみ(経験)を共有したから聖人となったのである。 

日々の生活に苦しんでい庶民が、その苦しみを救ってくれる者にすがるのは当然のことだ。  

会社経営者たちといえども、倒産、失業から無縁ではない。 倒産すればみんなゼロからのスタートだ。 いや、個人資産を担保に取られている社長などは、マイナスからスタートだ。 その点で経営者も従業員も同じ経験(感覚)を共有している。 だから、彼らの苦しみも当然理解できる。  

だが、今の日本ではその苦しみを共有しない者たちが、政策を作り執行し、さらにはルールを作って違反した民間人を罰している。 しかも、そのルールや政策のもとになった理想・理論は、欧米からの借りモノだから、悲劇を通り越して喜劇である。 

元法学部教授の公正取引委員会の委員は講演で、実に無邪気に競争政策の正しさ、談合(カルテル)の犯罪性を語っていた。 談合(カルテル)を根絶すれば、日本は理想社会になるような口ぶりだった。 しかも、自分たちの公務員組合が、合法的カルテルであることなどは全く気も付いていない。 

民間と苦しみ(感覚)を共有しないエリートたちは、何度政策を間違っても自らの間違いに気づくことはないだろう。  大東亜戦争中の高級将校、参謀たちがそうだったように。 人間は苦しみからしか学ばない。 しかし、日本には両者が感覚(経験)を共有する制度は戦前も今も存在しない。

今日はここまでにします。 おやすみなさい。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 談合(カルテル)ブレーンスト... | トップ | 談合(カルテル)ブレーンスト... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
脱原発デモ (ラブリースノー)
2012-07-09 17:44:08
なるほど、わかりやすい分析ですね。
放射能に対する「好悪の感情」で集まった人と、
米国石油メジャーから資金援助を受けた「損得勘定」で動く左翼貴族さんですね。
ちなみに私は「理想」が動機なので、振り向けば誰もいません……orz
返信する

コメントを投稿

談合」カテゴリの最新記事