若い時は安月給で連日大赤字のサービス残業、40歳頃に損益が逆転し、40代後半からはハンコを押すだけ新人社員の数倍の給与を貰う。 先憂後楽の年功序列賃金では、中途採用も中途退社も基本的にありえない。 新卒採用から定年退職まで同じ仲間で仕事をする。 だから、会社への忠誠心だけでなく、社員同士の仲間意識を生み出すのにも有効だった。
『戦友の絆は、肉親の情を超える』といわれるように、同じ釜の飯を食い、滅私奉社の苦労をした者同士の絆も非常に強く、全社一丸の家族的経営は、バブル時代、欧米から脅威とみなされた。
しかし、終身雇用制が普及した日本の上部組織(公務員や大企業)では、人材の流動性が少なくなるのに比例して、モノの見かた、発想が単眼的になる。 社員全員が一つの組織、一つの職業しか知らないのだから、当然だろう。
単眼的単純思考は、それが環境に適応した場合は恐ろしい力を発揮する。 しかし、環境に不適合を起こした時、戦略的やり方を変えることができない弱点を抱えている。 戦術的やり方は、現場つまり若手の問題だが、戦略的やり方は、幹部たちの問題だ。 日本は、国家レベルでも企業レベルでも、上部に行けばいくほど人材の流動性がなくなるから、戦略的変更がとくにできない。 さらに、その変わることのできない上部が権力を持って、若手に命令を出すから大問題だ。 発想を変えられない参謀たちがたどり着く結論は一つ。 とにかくガンバロウの精神主義、根性主義である。
そして、環境が自然環境ではなく、人為によって左右される戦争、経済競争などでの戦略環境の場合、悲劇的だ。
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