入社して1年2年は、わからないことだらけで、「ミス」(この言葉好きではないのですが)を
連発するのは当然であり、自明のことです。人は機械じゃないのだから。
入社して半年も経たない人の、「ミス」を活字にして声高にあげつらい、解雇の理由にする会社が
ありますが、そのこと自体が、その会社がいかに狭量でケチで卑小であるか、物語っています。
色々なことの責任を、入社して日の浅い社員に押しつけて、それを活字に羅列して解雇する会社から、
人を育てるという姿勢が感じられない。
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地道に確実に成長を続ける中小企業の老社長がTVで言ってました。
「入社してすぐ器用に要領を得るが、成長の伸びしろがそこで頭打ちの社員もいるし、入社して5年10年
或いはそれ以上芽が出なくてでくの坊でも、その後で力を発揮し、多大な貢献を会社にする社員もいる。
だから浅はかに尚早に値踏みすべきではない。短絡的な判断は、誤りであることが多い。
土肥やし、種まき、水やり、肥料足しをなにもせずに、収穫だけよこせというのは道理に合わない。」
「適材適所 これも大事。打てども打てども鈍重にしか響かずの社員に別のことをやらせると、頭角を現す。
向き不向きを見抜いて適材適所に置くことは事業主の使命。」
こんな経営者の元で、みんな働きたいのではないでしょうか。育ててくれ待ってくれる事業主です。
そんなリーダーの元だったら、信頼関係が築け、忍耐強く待ってくれてるその気持ちに応えたいと
私は思いますし、多くの人間はそうではないでしょうか。
特に、私たち発達障害に分類される人達は、そうです。(参照:すばらしい講演会 の下の方 強迫性症状 の下の方)
実際に、私はそういう幸運な職場に当たったことがあります。京都でのバイト先の店主がおじいちゃんで、
切れ味の良い理解力がなく、粗相も色々ある私を、決して悪く解釈せずむしろ可愛がり
目をかけてくださいました。
暑い夏には「あっついなぁ!冷茶飲むか?レーコーか?」と言い
寒い冬には「さっむいなぁ!ゆずレモンやるか」と言い
梅雨時期には「うっとぉしなぁ!冷房つけや」と言って、仕事をする私を労ってくださいました。
私が悪気はなくてよかれと思ってやったことを、顔をほころばせて
「あんたはこう思てやったんやな、上等や。しかしなこうすんねん。というのもな…」と言って
理由も教えて指南しました。決して頭ごなしに否定したり馬鹿者扱いしたりせずに、私の考えを
理解した上で、指導されました。
店主夫妻は、私たちバイト(みんな女性)を、苗字に君付けで呼んでいました。上岡君とか尾幡君とか。
それで、私も真似してバイト仲間を君付けで呼ぶことがあり、それは面白おかしく受け容れられました。
店主は私に、安心な環境という労働者にとって最も大事なものを整えてくださいました。
私はそのおじいちゃん店主が大好きで、非常に懐いていました。
そんな環境でしたので、私は水を得た魚のように働き、お客さんには「あんた、いつも嬉しそうに働いてんなぁ
気持ちええわ がんばりよし」「お 今日もやっとるな」と言われたりしました。
そのおじいちゃん店主の息子が厨房の采配役だったのですが
「あんた、よおできるようになったなぁ バカと天才は紙一重や」と言われました。
その息子は、陰で私のことを「アホ」と呼んでいて、「今日(のバイト)は誰かな?」「アホが来よる」と
落語のような会話が通じていたそうです。通じないで欲しいのですが、私は「アホ」で通っていたんです。
その通称は、見直して撤回されたりはせず、ずっと続きました。
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土肥やし、種まき、水やり、肥料足しをして、太陽の光を浴びせ、風雨にも当て、
待ってくれる環境なら、人は育ち成長し、時に絶大な貢献をして返します。
「アホ」が会社の危機を救う日が来るかもしれない。
この言い方も好きではないですが、投資をすれば100倍になって返ってくることもあるのです。
その投資とは、短絡的な評価をせず、承認的に見守る という行為です。
そんなことを一切やらずに、収穫だけよこせと言う会社は、非常にセコくて狭量ですので
そんな所で働きたくはないです。
揚げ足取りや短絡評価に満ちた職場
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承認的に育て長期的に眺める職場