ハリソンさんはカノ紳士 ーフランス通過編 ー(後半)

今は昔の18世紀欧州が舞台の歴史大河ロマン。

登場人物紹介と今までのあらすじ

2025年01月03日 | 第32話 ポータブルシュンガショウシ
  


 1765年の秋、
英国の冴えない
ノベライズ作家
ハリソン氏は起死回生の
旅行記を書くために
イタリアへと旅立ち、
フランスでマルセルが
従者として加わります。

 旅の途中では当時の
英国の人気作家
トリストラム・
シャンディ氏の正体を
知りたがる人々が
知ってるかもしれない
ハリソン氏に次々と
近付いて来ます。

 アヴィニョンまで
辿り着いた一行は
ホテルの主人一家や
彼らの友人クレールと
親しくなりますが、
クレールの元恋人で
貴族のエクトル氏とは
険悪な雰囲気。

 更にホテルには
主人の弟や孤児院の
子供達とその世話役の
修道士達と神父が
翌日の聖マルタンの祝日を
一緒に祝うために
やって来ます。

 その夜、
ホテルの中では
様々な人間模様が
繰り広げられるのでした。
 

 ※「トリストラム・シャンディ」は
  18世紀英国の作家
  ローレンス・スターン
  (1713〜68)が書いた
  実在の小説ですが、
  この物語はそれをもとにした
  フィクションです。



  本編開始は何日か後の予定です。


第32話 【 ポータブルシュンガショウシ 】 あらすじ

2025年01月02日 | 第32話 ポータブルシュンガショウシ
  


 男女間の異性愛について
古代ローマ時代や
20世紀後半に比する程、
実に、実に大っぴらで
寛容だった18世紀。
フランスでは
艶っぽくて美しく
華やかなロココ芸術が
王侯貴族社会を中心に
咲き誇りました。
 
 絵画の世界では
ギリシア・ローマ神話を
題材にした実に
悩ましくも艶めかしい
数々の傑作が描かれましたが、
そういう画家らの代表者が
フランソワ・ブーシェ
(1703-70)でした。

 ブーシェは
「ビーナスの画家」
「ビーナスと結婚した画家」
と呼ばれるくらい
愛と美の女神ビーナスの絵を
描きまくったので
「死んだのも
ビーナス絵を描いてる
時だった」
とまで言われる事が
あったくらいでした。

 そんな
稀代のエロ絵師の複製を
収録した小型本や
その他の画家の
そのテの絵の数々を
版画化した物、
そして艶話集を
小型トランクに詰めたのを、
仲人さんから
結婚祝いにプレゼント
されてしまった
元修道士のデノワ氏。

 …捨てるに捨てられず
もう十数年。
今や娘も息子も年頃に。
孤独な悩みに困り果て、
作家のハリソンさんへと
何か奇抜な解決方法は
無いかと相談します。

 それに対し、
ハリソンさんは
自分の中でそういう物に
対して湧き上がる
特殊な感情をデノワ氏に
打ち明けた後で
救済を申し出るのでした。


  次は登場人物紹介とあらすじ。
 

決め手はチャンカチャンカ感に水戸黄門風で鎌倉殿的だから?

2024年12月29日 | エンシェント・クリスマスソングの記憶
  


 昨日の続きでもう1曲、
ペロティヌス原曲の
「支配者らは集まりて」
Sederunt principes
の編曲。

 日本だと12月25日には
クリスマス終わり〜
もうベートーベンの「第九」
や童謡「お正月」の
編曲がスーパーとかの
有線でかかってるけど、
12月26日は聖ステファノの日
で欧米はまだクリスマス期間。

 「支配者らは集まりて」は
聖ステファノの日のために
作られた曲なのだけど、
この人が敵方に
捕らえられて
石打ち刑で死ぬ時の
歌なので、

後半から光が
差すようなマイルドな
明るさに曲調が変わっても
「地上のすべての国々は」
とは違う雰囲気。

 が、
ペロティヌス独特の
リズム感覚が
この曲にも色濃〜く
あるのです。

 調べてみると
「地上のすべての国々は」
で衝撃を受けた後に

ペロティヌスに
ハマったというのを
本やネットに書いている
人が思った以上にいる
でした。

 しかも、
絶賛してる人ばかりで
貶している人が
今の所見当たら無い
のは
何故なのか?

 曲全体から漂う
チャンカチャンカ感
出だしのロングトーンが
「水戸黄門」風で、
海外人が作曲してるのに
日本人の心の
掴み所をちゃんと
押さえてるってのが
「鎌倉殿の13人」的
だからかっ?!

 ともかくも、
ペロティヌスによって
合唱曲に華やかさや
迫力が加わり、
18世紀にはオーケストラ
伴奏が付いてるのが
普通になって、
バッハやヘンデル、
→モーツァルトやハイドン、
ベートーベン年末第九の
てっぺんに繋がってく
って訳さね。



未来のカリンバ弾いてる自分のために編曲してみた

2024年12月28日 | エンシェント・クリスマスソングの記憶
  


 前ページと前々ページ、
前半作者gmproject代表の
転載文にあった
ペロティヌス作曲の
多声合唱曲の元祖
「地上のすべての国々は」
Viderunt omnes


 ーーを
未来の自分のために、
現代人の自分が
分かり易いようにと
拍子を変えて
編曲してみました。

 昨日、
銀行に行った帰りに
近くにあった楽器店で、
アフリカ系のミニ楽器
カリンバの試し弾き

をしようと寄ったら
前あったのが無くて、
箱入りの売り物は
あったけど、
買うのは先送りに
しました。

 私は利き手の小指が
怪我で動かなくなったので、
マルセルのように
フルートや、
ハリソンさんのように
バイオリン属&
ビオール属の楽器を
演奏する事はできません。

 でも、
親指だけで弾けるという
カリンバなら…

今は夢見ているんです。

 売っていたのは
ハ長調(ドレミファソラシド)
の音階だけしか
出せないようなので、
ペロティヌスの曲は
合いそうです。

 私が聴いた印象では
オルゴールの音色か
ベルやクリスタル系の
音色が相性良さそうな曲
と思いました。

 楽器店には
「オタマトーン」
ギターより簡単に
弾けるという
「よなおしギター」
もあって、
これらも気になりましたが、
ギターはそれでも無理そう。

 オタマトーンは
大丈夫な手の方での
操作なら何とか
なるのかな?



エンシェント・クリスマスソングの記憶 中世のパリでホンマに、こんな曲が作られていたのけ!?②

2024年12月23日 | エンシェント・クリスマスソングの記憶
  


 ペロティヌス作曲
「地上のすべての国々は」
  Viderunt omunes

作曲者のペロティヌス
(12世紀後半~13世紀初め頃)
はペロタンとも呼ばれていて、
パリ・ノートルダム大聖堂
参事会員のピエールさん
(苗字不明)だったかも
しれないと言われています。

 ― で、
どういう曲なのかというと、
男性が四声部で歌う、
「アカペラ」のジャンルに
入るのでしょうが、
聴いたCDでは、
低音部を補うために
オルガン伴奏が
入っていました。

 この曲が属している
12世紀後半〜13世紀に
かけて栄えたパリ・
ノートルダム楽派は
全般的にそうなのですが、
聴く人によっては
現代曲にも聴こえる
かもしれないような、

何とも言えない
摩訶不思議さを
醸しています。

 これが1198年
(日本では鎌倉時代初期) の
クリスマスに
ノートルダム大聖堂で
響き渡ったのでしょう。
 
 聴くのはいいとしても、 
歌うとなると
かなり大変な曲
で、
歌詞は全部ラテン語なのですが、
何しろ、一語一語をすごーく
長く引き伸ばして歌う
ので、
歌う方はともかく、
聴く方は何て歌っているのかが
分るのかどうか?
ーーって程
長く伸ばしまくるのです。

 前半は解説集にも
ありましたが、
歌い出しの Viderunt という語を、
Viの部分だけで50秒間も
引き伸ばしている
し、
それに続く omunes を合わせたら
4分くらいかかるのでは
ないかと思います。

 間にグレゴリオ聖歌の
歌唱法でユニゾンの
合唱が入り、
少し速度を上げて
後半を歌い切って、
最後にまたグレゴリオ聖歌の
歌い方が入って
全部で12分くらい。

 何か、
小学生の縄跳び大会で、
3分間跳び切った時のような
疲労感
がするのでした。

 日本語で
「見た」だけを
1分30秒もかかって
歌っていると考えると、
ふざけ半分の前衛曲
みたいな感じ

しないでも無いですが、
この曲は大変に真面目。
当時の実用的な
宗教曲なのでした。


 う~ん、でも多分
モーツァルトさんが
同じ歌詞で作曲したら、
半分くらいの長さで
できてしまう
と思う…。