老婆の終末も近づいた
以前から少しずつ
整理しては捨てるものと残すもの
とに分かれていたが
整理しなおす度に
捨てるものが出てくる。
以前はまだ取っておきたい
と思っていたものが
いさぎよくーーではないが
捨てられる。
つくづくこれは
執着との別離。
次第に執着がなくなっていき
しまいにはゼロになるはずの
ものたちだけど
生きている間は「取っておきたい」
ものたちに引っかかる。
最後はおまえの体も消えるんだから
と
何もかも捨ててしまえば
さっぱりするのだろうけれど
昔々幼い子供たちとの家族写真
自分の拙い作品
書いたもの
外国の友人との手紙
などなど
ゼロに近くしたいと
思いながら
まだ執着している
未練がある。
煩悩とはやっかいなものだなと
煩悩に引きずりまわされる。