人生の階段ー日々の詩に託してー

ある老婆の日々ーー

「ふつうの人々」

2018年03月08日 | 映画

ロバート・レッドフォード監督「ふつうの人々」を

BSで久しぶりに見ました。

あの少年の悲しげな眼差しがやっぱり

光ってますねぇ。

それにしても初めて見た人はこう思うのではないでしょうか。

あの息子を愛せない母親と

孤独で残酷な記憶に苦しむ息子

この二人の結末はきっと

抱き合って和解にいたるのではないか・・・

日本映画ならきっとそうなります、

ところが結末は違います、

母親は最後まで息子を愛することができず

父親はそれをどうすることもできず

もう、一緒にやっていけないと宣告、

母親はーー妻は、というべきかーー去ります。

残された父と息子がひしと抱き合うところで

ジ・エンドーー

つまりこういうラストなんですね。

日本映画ならどうなるかな

なんてこと考えてばかりの二度目の映画

でございました。

それにしてもーー

長男を失った母親が次男を愛することができない

たとえ事故死のときに次男が兄を救えなかった

にしても、です、

すごい想定です、

お涙ちょーだい

の筋書きがどこにもない

救いのないストーリーですが

これが「ふつう」のようですね、

アメリカという国では・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


バベットの晩餐会

2017年03月28日 | 映画

忘れがたい映画はだれにも

いくつかあると思います

老婆はこの歳ですので

「イタリアリアリズム」シリーズは

おおかた見ていますし

黒澤映画も初期からずっと見ています

フランス映画はもちろん

あの「カサブランカ」も

「望郷」も「天井桟敷の人々」も。

今日は「バベットの晩餐会」を

思い出しています、

あの素晴らしい材料を運び入れる

暗い海辺のシーンや

悲しいほど暗い重い村人の雰囲気や

あの小さな重そうな北の海辺の家々。

と同時につい、思うのです

カトリック系の国々の料理はなぜ

あんなに豊かで

宗教革命をやったプロテスタントの

国々はなぜあんなに食文化が貧しいのか

と。

日本でも「イタリアン」「フレンチ」などは盛んですが

ドイツ料理店なんて

ワインの他にはソーセージくらいなものです・・・

では日本は?

と思う時

日本の料理は京料理に集約されるのでしょうか

美しい! 

芸術と領域を重ねていて

食すなわち美・・・

それはまあ置いといて

日本は今や雑食文化。

バベットさんには見せたくないですねぇ。

 

 


誓いの休暇

2017年01月02日 | 映画

昔ロシア映画に

「誓いの休暇」がありました。

ソ連の時代なのに

なんともいい映画でした

母親の元に一瞬

帰ることのできた若い兵士の物語

のように

私も息子が一瞬、帰ってきました

映画では母親を抱きしめるだけの

本当の一瞬でしたが

わが家では7日ほど。

その間に

伸び放題のわが家の庭の木々は

きれいに刈り取られ

庭には燦々と太陽が。

重たい灯油も買ってくれたし

汚れ放題の窓ガラスもぴかぴか

縁側も台所もぴかぴか

息子は未だに定職はなく

風来坊のその日稼ぎ

ですが

ああ、その優しさたくましさは

サラリーマンで人間関係に悩んでいる

男たちにはない

風が吹いていて

それはそれでいいなあと

しかし老後はどうなるんだろうと

老婆は心配しているけれど

ともかく

この正月は

文字通り「清々しい」時間を過ごして

いるのです。

そして

彼が去ったあと

あれは奇跡の日々だったなあと

老婆は涙ぐむに違いない

のです・・・

 


水上の学校

2016年10月21日 | 映画

タイの映画を見ました

水上の学校に赴任した若い教師の

物語なのですが

そういうことではなくて

感慨深かったのは

やっと教師が来て

学校が再開されて

子供たちと先生がーー数人しかいないーー

まず最初に何をしたかと思います?

きちんと姿勢を正して

国歌を歌ったのです。

これが「国の真摯なありよう」

ではありませんか?

「世界の通学路」っていう

映画もそうでしたが

万難を排してたどり着いたとき

子どもたちは

まず国歌をきちんと姿勢を正して

歌うのです。

自国の国歌を否定し国旗を否定する

教師がまかり通っている国は

世界広しといえども日本だけでしょうね。

不思議の国です。

そしてあまりにもひどいから

強制的に教師に罰を課したり

どうでも起立させ

口を開けて歌わせ

どころか

口ぱくか否かまで

調べるってんですから

もうあきれてしまいます

どうなってるんですかねこの国は。

子どもたちと先生が

水上の地位なぼろぼろの学校で

姿勢を正して国歌を歌う

その姿が一番印象に残った

映画でした・・・

 

 

 

 

 

 


マイケルムーア

2016年05月31日 | 映画

マイケルムーアの

映画「世界侵略のすすめ」は

なんという警鐘をアメリカ国家に

そして日本に告げていることでしょう。

死刑制度がない、

囚人への人権尊重。

北欧の国々の民度の高さは

わが子を殺した犯人さえも

自分に復讐として殺す権利はないと

言い切る父親。

大学生は無料で勉強できる・・・

今、借金に苦しむ日本の

大卒の若者たちのニュースが

聞かれるのを思うと

いつの日か日本も

北欧並みの国になるのかと

思うと

日本が「おもてなし」で喜ばれている

なんて

いい気になってる場合か

って思いました。

マイケルムーア、

この巨人の心に住む

やさしさ、悲しさ、口惜しさを

存分に味わいました。