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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

道祖神とゴミ収集場

2025-01-20 23:14:09 | 民俗学

 1月11日に「令和7年オンバシラ」を記し、その際安曇野市三郷一日市場下町のオンバシラを紹介した。当日は長野県民俗の会第244回例会が開かれたわけであるが、オンバシラは道祖神の祭りであり、道祖神の脇に建てられる。一日市場下町のオンバシラもかつては道祖神の脇に建てられていたというが、現在は少し西側の車の往来が少ないところに建てられている。道祖神のある場所は県道沿いで、車の往来が激しい。このオンバシラを訪れた際、「道祖神のある場所はゴミ収集場になっている」と話題になった。まさに一日市場下町の道祖神の横が収集場になっている。車の往来が激しいのになぜゴミ収集場になっているか、違和感があったことは言うまでもない。オンバシラの建てられるさらに西側には集会施設があって、そこにもゴミ収集のスペースが確保されているようだったが、あえて車の往来が激しい道端にそうした空間が設けられたのか、それほど道祖神とゴミ収集場は関係性がなくてはならないのか、といった話題に繋がった。

 その後柱立ての現場をいくつか見て歩く中で、同じような事例はほかにも見られた。例えば辰野町羽場中村のデーモンジである。ここの道祖神の真横が、やはりゴミ収集場なのである。みなが利用しやすい空間が、やはり道祖神の建てられている場所、ということになるのだろう。一日市場下町の場合、今でこそ車の往来が激しくて「危ない」場所になってしまっているが、かつてはみなの集まりやすい場所ということだったのかもしれない。もちろん安全を考慮して場所を移動することも必要なのだが、あえていまだ場所を維持している理由を聞きたいところである。羽場中村では、14日にデーモンジは建てられる。それまでは竹が横たえられていて、そこへ厄年の人が扇を結び付けていく。ゴミを出しがてら厄を落としていく人はいないかもしれないが、「厄を落とす」=「ゴミを捨てる」、考えてみれば同じような心持ちなのかもしれない。

 

安曇野市三郷一日市場下町道祖神

 

辰野町羽場中村道祖神

 

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