Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ハナを掲げる

2025-01-07 23:07:19 | 民俗学

伊那市東春近古寺

 

 コロナ禍の令和3年の新春、伊那市東春近の古寺へハナヅクリの行事を訪ねた。コロナ禍にあってよそ者を受け入れていただいた古寺の皆さんには感謝であったが、その後ハナヅクリの様子をうかがうこともなくいたが、今日、その古寺に立ち寄ってみた。令和3年の際には作られたハナが電柱に掲げられて素のままだったが、今日はそのハナにビニールが掛けられていた。ようは「濡れないように」という意図なのだろう。このハナは下ろした後、各戸に縁起物として配られる。したがって雪、あるいは雨が降れば濡れてしまうわけで、それを保護するようにビニールが掛けられる。

 同様の光景は同じ年に訪れた古寺の近くの城下のセーノカミに見られた。やはり濡れないようにとビニールが掛けられていた。本来はこのようなビニールは掛けなかったのだろうが、数日間野天に掲げられるから、綺麗なまま配布したいという思いがこうしたビニール掛けにつながっている。今週末には安曇野へオンバシラを訪ねる企画が長野県民俗の会例会で企画されている。オンバシラではどうなのか、そのあたりも見てみたいところ。余裕があればこうした正月行事へ足を運びたいところだが、多忙なため、立ち寄るレベルの今年である。

 ビニールを掛けたせいだろうか、令和3年の際はハナを電柱と並行に近く放射状に束ねていたが、今年のハナは電柱に対して直角、ようは十文字のように横にした結わえている。陰になりかけている太陽はオンベと同様に上を向いていたと思うが、これもまたビニールを掛けたせいか風が吹いて傾いてしまったようだ。もう一つ令和3年と大きく異なるのは、「竹がない」。今年のものは電柱にしばりつけてあり、それは令和3年も同様だったが、令和3年の場合電柱に沿って竹が建てられていて、もともとはこの竹が柱で合ったであろう想像できた。しかし今年の場合は電柱が支柱代わりになっていて、本来の「柱」に当るものが存在しない、というか電柱を柱に見立ててしまっている。どんど焼きの際に下ろすと令和3年には言っていたので、今年もあと数日で下ろされるのかもしれないが、下ろす日を確認までしなかった。

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