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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

高遠町山室の獅子舞へ

2023-12-29 23:18:34 | 民俗学

 伊那市の広報に地域の公民館活動の紹介が掲載されていて、情報源として利用させてもらっている。新年1月号がコンビニに置かれていて、いつも通りいただいてきた。コンビニで各地の広報をいただいてくるのも、最近の習慣である。その1月号に山室地区の獅子舞の情報が掲載されていた。正月の元旦や2日に行われる獅子舞のことが書かれていた。山室は山を隔てれば山梨である。また北側は諏訪に通じる。山梨や諏訪では小正月に道祖神の獅子舞をするところがあちこちにある。以前「牧丘町道祖神祭りや、櫛形町の道祖神の獅子舞について触れている。諏訪の山の向こう側、旧和田村や旧長門町では、正月元旦を中心に、やはり道祖神の獅子舞が行われていた。このことも「和田村中組の獅子舞「長門町長久保の獅子舞などで以前触れている。ようは北や東の隣接地域に道祖神の獅子舞が盛んに分布しており、そうした地域の影響を受けている地域と、山室川の谷を捉えていた。記録ではこうした獅子舞は、旧長谷村あたりまで分布していたようだ。しかし、現在はほとんど実施されていないのだろうと思っていたら、広報の記事では山室の那木沢、宮原、新井、川辺で今も行われていると記されていた。

 ということで、今日長野まで葬儀に出向いた帰り道に、寄り道をして獅子舞の実施日時を確認して回ってみた。

 

 

 ところで、こうした道祖神にかかわらず、正月に獅子舞が行われる事例を『長野県史民俗編』からデータ収集してみた。ところが、県史から拾えるデータからできた分布状況は分布図の通り。ようは東信のみに分布が見られ、ほかの地域には記号が落とせない。今回は急いで作成したため、刊行された県史から抽出したもの。最近になってようやく始まった県史を編纂する過程の生データから抽出したものではない。そもそも「正月に獅子舞が行われますか」という質問がされたわけではない。したがってどこにそのデータがあるか、探すのにコツがいる。今回の分布図のほとんどのデータは、民俗芸能の章の「獅子舞」から抽出したもの。東信のみ正月の戸ごと舞として項目があり、そこから記号がたくさん落とすことができた。そのうえで、信仰の章の道祖神の祭りに記載されているものから「正月」と「二月八日」の祭りを抽出したわけである。あらためて県史のデータで確認して、補完する必要があるのだろうが、こうしてテーマに沿って図化しようとすることによって、県史では捉えられていない点が明らかになり、またまだまだ解明されていないことが多いことを知らされるわけである。

 いずれにしても、わたしの日記の中でも触れてきていることであるが、諏訪の道祖神獅子舞については、亡くなられた平出一治さんからいくつも報告を受けているし、山室から長谷にかけての獅子舞については、『長野県上伊那史』などに竹入先生によって報告されていた。こうした県史以外の情報も加えていかないと、実際の姿は見えてこない例を、ここにもひとつ見つけたわけである。

 さて、日時確認をしていたら、那木沢の獅子舞はYouTubeの「加農屋風田」さんのページに投稿されているという。

令和5年元旦の獅子舞い

令和3年元旦の獅子舞(獅子舞が復活した年のもの)

 


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